「今後12カ月以内に日本でサービスを開始したい」---米Roxio Napster部門社長兼COOのマイケル・ベヘル氏は11月25日に都内で会見し、日本でもNapsterのサービスを展開すると発表した。現在は国内のレコード会社と協議を始めている段階だという。
ファイル交換サービスのNapsterは大手レコード会社から起こされた著作権侵害訴訟によって廃業に追い込まれ、2002年11月にRoxioに買収された。RoxioはNapsterを今年5月に買収したオンライン音楽サービスのPressplayと合体させ、新たなデジタル音楽配信サービス「Napster 2.0」を10月に米国で開始したばかりだ。
Napster 2.0は米国の大手レコード会社5社や大手独立レーベルの楽曲を販売しており、米Appleが提供するiTune Music Storeの倍に当たる50万曲以上のコンテンツがあるという。ただし現在は米国内でしかサービスを利用することはできない。
Napster 2.0では同社の無料ソフトウェアをダウンロードしたユーザーに対し、2つの方法で楽曲を販売している。1つは曲ごと、もしくはアルバムごとに販売する方法で、1曲99セント、アルバムは9.95ドルで提供している。もう1つは会員制の月額課金サービスで、月額9.95ドルを支払えば無制限で楽曲のストリーミングやダウンロードができるというものだ。ただし後者の場合、ダウンロードした楽曲をコピーしたりCDに焼くことはできない。また、毎月の利用料金を支払わないとダウンロードした楽曲であっても視聴することができない仕組みになっている。
Roxioでは同様のサービスを1年以内に日本と欧州の主要な市場で展開していきたいとしている。「(米国での)初期投資が済めば、各国でサービスを提供するのに追加投資はさほどかからない」(ベヘル氏)。特に日本は米国に続く第2の巨大音楽市場であり、力を入れていく考えのようだ。日本でサービスを展開する場合には、現在米国で提供している楽曲だけでなく邦楽も提供していく予定という。
Napsterは楽曲販売だけで黒字化を目指す
米Roxio Napster部門社長兼COOのマイケル・ベヘル氏 | |
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Napster 2.0はサービス開始後の1週間で30万曲以上を売り上げたほか、月額課金の会員制サービスにも数千人の登録があったという。12月末までには8万人の登録会員数を見込んでいる。
RoxioはNapsterで確実に収益を上げていく考えだという。「NapsterはRoxioの一部分だが、単体で利益を出すつもりだ」(ベヘル氏)。同じく音楽配信サービスのiTunes Music Storeを提供するAppleが楽曲販売では大きな利益を見込んでおらず、デジタル音楽プレーヤーのiPodなどで収益を上げようとしているのとは対照的だ。
「サービスの幅ではライバルはいないと考えている。(月額課金の)会員制サービスを提供しているところとしては米Rhapsodyがあり、(1曲ずつ販売する)アラカルト型のサービスを提供しているところもいくつかある。しかし両方のサービスを提供するハイブリッド型モデルを採用しているのはNapsterだけだ。さらに50万曲のタイトル数も他社の追随を許さない」(ベヘル氏)
デジタル音楽配信ビジネスにはRoxioの技術パートナーであるMicrosoftも参入を表明しており、来年にはサービスを開始すると見られている。このことについてベヘル氏は「RoxioはMicrosoftと密接な協力関係にあり、Microsoftが音楽配信サービスに参入することも事前に聞いていた。Microsoftが提供するサービスはアラカルト型のみであり、今後も両社の関係が悪化することはない」と話し、Microsoftとの良好な関係を強調した。
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