電子ID計画の実行を急ぐ欧州

 欧州では、向こう2年間に欧州共通の健康保険IDカードと、バイオメトリック情報を含む無線チップが組み込まれたEUの新しいパスポートが導入される見通しだ。これら2つの電子ID政策の実施は、EU加盟国の国民にとって、まさにダブルパンチとなりそうだ。

 欧州委員会(EC)の最近の提案によると、同委員会は2004年6月1日に、健康保険IDカード導入計画の第一段階に着手する。新カード導入により、EU加盟国の国民が、他の加盟国で治療を受ける際に要する事務処理が大幅に削減できるという。さらに所有者のバイオメトリック情報を含んだ、EUの新しいパスポートが2005年に導入されることが決まった。その数カ月前に、米国でもバイオメトリックパスポートが作られ、ビザを保有していない場合に所持が義務付けられる。

 2001年9月にパスポートの安全性を改善するための最初の提案書が欧州議会に提出され、同議会がその5カ月後に規則334/2002に採用した。しかし、ECが作成した最新の提案書は、規則334/2002に定められたロードマップの遂行を迅速化するだけでなく、偽造/盗難文書を使用した者の発見を容易にするために、EU各国のパスポートの安全性をさらに向上させる内容となっている。しかしそのためには、EU加盟各国に共通のパスポート形式の採用を義務付けている、前の規則を修正する必要がある。

 新しい提案書は、顔認識技術を使って身元確認プロセスの効率化を図るために、パスポートに保有者のデジタル画像を組み込むよう勧告している。また二次的手段として、パスポートに組み込まれた無線チップにパスポート保有者の2つの指紋情報が保存される。

 「最も相応しいストレージメディアは、非接触型マイクロチップだ。マイクロチップは、バイオメトリック情報とセキュリティコード(公開鍵基盤(PKI)デジタル署名)用のストレージとして必要だ」と提案書には記されている。また、この提案書では、チップには最低でも32KBのストレージ容量が必要とした上で、EU加盟国が自由に不特定の「英数字データ」を加えられるよう64KBのストレージ容量を推奨している。

 同提案書によると、虹彩スキャンではなく指紋を選んだ理由は、EU加盟国がすでに指紋情報を使った大規模なデータベースを構築しており、個人の素性調査が比較的簡単に行えるためという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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