米GroksterをはじめとするPtoPソフトウェア企業が結集し、業界団体を設立することが明らかとなった。エンターテインメント業界から激しい糾弾を受けてきたPtoPソフトウェアだが、団体結成による抵抗は身を結ぶのだろうか。
GroksterプレジデントのWayne Rossoは、「9月に業界団体の活動をスタートする予定だ。米議会に対して、PtoP関連企業が合法的なベンチャーであるということを説得する」と語っている。
「この業界団体では、PtoPソフトウェア企業の言い分を伝えると同時に、PtoPネットワークが著作権侵害やポルノの天国という、レコード業界の主張に対抗する」(Rosso)
さらに同氏は、「この業界団体では、賛同企業に対しても、"それぞれが各PtoPネットワークに責任を持ち、不法行為をなくすための介入を行なう"ことを呼びかける」と語る。また同団体では強制ライセンス(compulsory licensing)について支持するという。強制ライセンスとは、著作権所有者の許可がなくても規定料金を支払えば誰でも使用できるというライセンスで、現在、ラジオ局やウェブ放送局などが利用している。
この強制ライセンスがPtoPネットワークに導入された場合、音楽/映画業界は、PtoPを利用する、著作権物の使用を希望する全ての人々(あるいはダウンロードボタンを押す全ての人々)に対し、その使用を認めざるを得なくなる可能性がある。
なお、業界団体の正式名はまだ決定していない。また、今回の発表は、PtoPソフトウェアKaZaaのディストリビューター、米Sharman Networksが別の業界団体の設立について明らかにした数日後に行われた。Sharman Networks率いる業界団体の方は、PtoP市場に身を置くあらゆる企業が集結するもので、その中にはPtoPネットワーク運営企業、ISP、レコード会社なども含まれるという。
これに対し、Rossoは「我々の業界団体はPtoP企業に限定することになる」と説明する。「PtoP企業やファイル交換を行なう個人ユーザーへの訴訟で忙しいレコード会社が、話し合いの参加に興味を示すとは思えないから」(同氏)というのがその理由である。
2週間前、米レコード協会(RIAA)は「PtoPネットワークを利用して音楽ファイルを交換しているユーザーの情報収集を開始する」と警告を発した。このため、今後RIAAが数千人規模の個人ユーザーを訴える可能性がある。RIAAはこれまで米Napster、米Aimster、米ScourなどのPtoP企業を訴えてきた。
Rossoは名前は明らかにしていないが、団体専属のロビイスト1名をすでに雇い入れているという。このロビイストを通じてPtoP市場を反映した著作権法の改正について、米議会に働きかけを行っていくつもりだ。また、「社名は明かせないが、少なくとも5社のPtoP企業が我々の業界団体への参入を決めている」(Rosso)という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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