7月5日、都内で携帯機器によるウェブへの情報発信に関する会議「第1回International Moblogging Conference」が行われた。この会議の企画・運営を担当したAdam Greenfield氏は「Moblogging(Moblogをする)」という言葉を初めて提唱した人物として知られており、自身もv-2 OrganisationというサイトでMoblogを書いている。
Greenfield氏は2002年秋までビジネス構築のコンサルティングや、ウェブ構築などを行うレーザーフィッシュ・ジャパンでLead Information Architectを務めており、現在はコンサルタントとして独立している。CNET Japanでは来日して2年目になるというGreenfield氏に、今回の企画の趣旨とMoblogの可能性について聞いた。
Greenfield氏はまず今回のイベントの目的について「人と人をつなぎたかった」と説明する。例えばベンチャーキャピタルのネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏と、コミュニケーション学に詳しいイタリアのInteraction Design Institute Ivrea.助教授であるMolly Wright Steenson氏は、それまでお互いを知ることはなかったという。両者を知るGreenfield氏がこの会議の講演者として2人を招いたことで、お互いが知り合い、「それぞれのアイデアに影響が生まれる」(Greenfield氏)といったメリットが生まれるという。
Adam Greenfield氏 | |
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しかし、会議はなぜ東京で開かれたのか。Greenfield氏はその理由として、カメラ付携帯電話が日本で普及していることを挙げた。ただしGreenfield氏は「Moblogを最初に始めたのは日本人ではなく、日本で暮らす外国人だった」とも指摘。さらにGreenfield氏によると、現在Moblogを行っている人の割合は、米国が60%、日本に暮らす外国人が20%、日本人が10%、欧州が10%だという。なお、米国で主に利用されているのはHiptopという米Dangerの携帯端末だという。電話機能やEメール機能のほか、外付けのカメラが付いている。大きさはPDAより少し小さい程度で、ディスプレイを横にスライドさせると小さなキーボードが現れるなど、独特の形をしている。
Greenfield氏はMoblogの最も大きな魅力として、携帯電話を利用することで多くの人が簡単に利用できる点を挙げる。携帯電話はパソコンよりも価格が安く、操作も簡単だからだ。「今世界中で自分のサイトやBlogを持っているのはせいぜい数百万人だろう。しかしパソコンは持てなくても、携帯電話なら持てるという人はアジアやアフリカも含め、数十億人規模となるはずだ」(Greenfield氏)。これだけの人が自分たちの情報を発信し、お互いがつながることで「大企業からの一方的な情報ではなく、国境を越えたコミュニケーションが生まれる」とGreenfield氏は言う。
携帯電話から発信される情報は、今のBlogの形をとるとは限らない。Greenfield氏は利用例として、「自分が訪れた素晴らしいパブ(居酒屋)の情報に、GPS機能を持った携帯電話を使って、地図情報を一緒につけておく。そうすれば街を歩いていた人がその店の前を通ったときに、雑誌の情報ではなく、本当に人が良いと感じた情報を手に入れることができる。これは街の生活を変える」と話し、Moblogには様々な可能性があると語った。
次回のInternational Moblogging Conferenceについては、「1、2年後には技術も変わり、使い方も変わってくるはず。その時に何が必要とされているかは、ユーザーからのボトムアップで生まれてくるはず」(Greenfield氏)と語り、講演者やテーマについては未定とした。また、今回の開催に3〜4人の人が3カ月ほどフルタイムで準備しなくてはならなかったことを挙げ、「第2回が開催されることは間違いないが、僕がやるかどうかはわからない」と苦労をしのばせた。
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