米連邦控訴裁判所は30日(米国時間)、ピアツーピア(P2P)ネットワークの運営者は、ネットワーク上で取引されるコンテンツを隠す技術をメンバーに提供した場合でも、著作権侵害の罪は免れないとの判決を下した。
シカゴの第7巡回控訴裁判所は、この手法を「故意の見過ごし」と呼び、ファイル交換ネットワークMadste(旧名Aimster)に対して、裁判中のサービスの一時停止を命じた一審判決を支持した。しかし、一方では、ファイル交換ソフトの利用と個人的な家庭用ビデオの利用とを比較した、弁護側の主張も支持した。
Madsterはサービスを停止する以前には、America OnlineのAOL Instant Messengerを使って取引されるファイルを暗号化する技術をユーザーに提供していた。その結果、ネットワークの運営者たちは、特定の著作権侵害行為に気付いていたわけではないので、彼らにネットワーク上で行われる違法なファイル交換を防止する義務はなかったと主張していた。
ファイル交換ネットワークに匿名性を持ち込もうとする取り組みに水を差すことにもなりかねない今回の判決の中で、控訴裁はMadster側のこの主張を棄却した。
連邦裁判所は、Madsterが著作権侵害行為の停止を命じる予備的差止命令に従わなかったため、2002年12月にMadsterに対し、サービスの停止を命じていた。30日の判決では、この判断を支持したことになる。
米映画協会(MPAA)の会長兼CEO、Jack Valentiは声明の中で、「Aimsterに対する仮差し止め命令が支持され、公判まで同サービスが停止されたことを喜ばしく思う」と述べ、さらに「今回の判決は、著作権で保護された映画の違法使用により利益を上げている、いわゆるファイル共有ビジネスが今後許されなくなることを示すものだ」と述べた。
いっぽう、Madsterを運営するJohnny Deepは30日、控訴裁判所は彼とそのサービスに対する仮差し止め命令を撤回しなかったが、MadsterとSonyのBetamaxビデオレコーダーとの間に法的類似点があると認めた点で、彼の主張を支持したと述べた。ただし、レコード業界側は、その類似性についてしきりに否定しようとしている。
Deepはまた、自分の戦い抜こうという決意が、ファイル交換を行っている大勢の個人ユーザーを訴えると約束したレコード業界の意欲をくじくことになるだろうと述べた。
「これは私個人に対する裁判だ。断固たる決意を持ち、自分の行為が正しいと確信している何千人もの人々を訴えることがどんなことか、少し彼らに思い知らせてやるつもりだ」(Deep)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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