ファイル交換サービスを提供する企業同士が、矛先を互いに向けるかもしれない。Altnetが、ライバル企業に対して同社の電子タグ技術に関する特許を侵害していると主張し始めた。
Brilliant Digital Entertainmentの子会社Altnetは6月5日(米国時間)、同社保有のTrueNamesと呼ばれる特許を、最大のパートナーであるKaZaA Media DesktopのオーナーSharman Networksに対してライセンス供与した。KaZaAは、ファイル交換ソフトウェアでは最もポピュラーものである。
Altnetは1999年に同技術に関する特許権を取得したが、これはPtoPネットワーク上で「ハッシュ」という値や電子認証を使って、ファイルを識別する技術である。Altnetでは、PtoPサービスを提供するほぼすべての企業にアプローチし、この特許のライセンス先となる相手を探す予定だ。
「Altnetは、TrueNamesという名前の我が社の特許に対する侵害に注目しており、今日利用されている多くのPtoPアプリケーションが、これに抵触していると考えている」と、同社CEOのKevin Bermeisterはいう。「我々は、この特許の正当性を維持し、それがPtoPアプリケーションやコンテンツ所持者にもたらす可能性を実現することに注力している」(Bermeister)
しかし、特許のもつ有効範囲と強制力については、実際に法廷でその有効性を巡る議論が交わされ、決定が下される場合を除けば、評価するのが非常に難しい問題である。
米国特許商標庁で認定された特許の多くには、欠陥があるという意見も出つつある。特許番号6,368,227の「ブランコの揺らし方」のようなものが認められた例もある。このように技術特許は近年、しばしば批判や争いの火種となっている。なかでも、Amazon.comの「ワンクリック特許」と呼ばれるビジネスモデル特許が顕著な例である。2002年、同社はBarnes & Nobleとの同特許での闘争に終止符を打ったばかりだ。
Altnetが今回ライセンス供与した特許番号5,978,791は、以前にも訴訟で争われたことがある。コンテンツサービスプロバイダのDigital Islandが、ライバルのAkamaiを訴えたときのことで、Akamaiがウェブサイト上で発表した発表した内容によれば、この訴えは2001年12月に退けられている。
今月初め、KaZaAとAltnetは共同で、ファイル交換ソフトウェアの新バージョンをリリースした。同ソフトウェアには、より高度なセキュリティ機能を持つPtoPネットワークを構築し、また支払い機能を提供するコンポーネントが含まれている。このネットワークでは、ゲームや歌、映画といった認証されたファイルの提供に、何千万ものKaZaAユーザーのリソースを利用する。同社は、違法な海賊行為の温床としてのファイル交換ネットワークを廃し、きちんと承認されたコンテンツ配信システムを持った、強力なメディアを作る必要があると考えている。
しかし、Altnetが大掛かりな新サービス開始を控えるなかで、親会社のBrilliant Digitalは財政問題に直面している。5月下旬にSECに提出した文書で、Brilliant Digitalは「資本がマイナス4165ドルの状態にあり、会社の存続も危ぶまれている」と説明している。但し、新たな資金調達に望みを託していることも、そのなかで明かしている。同社では、今回の特許ライセンスによる収入増に期待をかけている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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