米Verizon Communicationsは4日(米国時間)、上訴審の陪審員が同社の提出期限延期要請を却下したことを受け、違法ファイル交換行為で告発された4人の匿名加入者の名前をレコード業界の業界団体に公表することを明らかにした。
コロンビア特別区米国控訴裁判所の陪審員は、著作権者側にとっての勝訴となる内容として、訴訟を進めていく過程で干渉しながら加入者の身元を保護することを拒否した。しかし、レコード業界にとっての最終的な勝訴への道のりはまだ遠く、上訴に向けた聴聞会が9月に予定されているが、ここでVerizon側の主張の正しいと認められる可能性もある。
この裁判では4人の被告が即時訴追されている。さらに一般的に考えると、ピア・ツー・ピアネットワーク上で違法ファイルをやりとりする人物を、著作権者が一段と容易に特定するための道が切り開かれる可能性がある。ファイル交換の愛好者はオンライン上で自分の身元を隠そうとするが、オンライン上での操作とVerizonなどのISPの記録を照合すれば、通常は人物を特定できる。
ここで問題となっているのは、コンテンツの所有者が、インターネット上での著作権侵害行為に対抗しやすくすることを目指して論争を呼んでいる、米著作権法が認める召喚権限だ。普通の「匿名」での出頭命令とは異なり、Digital Millennium Copyright Act(DMCA:デジタルミレニアム著作権法)では、判事の承認を得ずに著作権者が資料を召喚できるようになっており、費用を抑えつつ容易に著作権侵害の容疑者を突きとめることができる。
著作権侵害問題についての専門家は、消費者のプライバシーを侵害し、著作権者に過大な権限を与えるとして、このような召喚方法を批判してきた。インターネット業界団体も、著作権法を遵守させるための負担がISPにかかることを懸念している。
RIAA(全米レコード協会)は、Kazaaをはじめとする複数のピア・ツー・ピアネットワークを利用して音楽ファイルの交換を行った加入者の身元を明らかにするため、DMCAの一括承認手続きの規定に従い2通の召喚状をVerizonに送付している。
Verizonは顧客のプライバシーに対する懸念と法的責任を理由に、この召喚要求を拒否したが、結局はRIAAがVerizonを召喚命令に従わせるよう米国連邦地方裁判所の判事に対して要請し、これを受けた判事が1月と4月に下した別の判決の中で、名前の公表をVerizonに命令した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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