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宇宙でのCM制作は“わずか”1億円--顧客第1号は日清カップヌードル

2005/09/22 00:13
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 宇宙における映像制作を手がけるSPACE FILMSは9月21日、商用ビデオカメラを宇宙に運び、国際宇宙ステーション(ISS)にて日清食品カップヌードルの新CM「NO BORDER 宇宙編」を撮影すると発表した。民間が保有するビデオカメラが宇宙に運ばれるのは世界初という。CMの企画および作成は電通と共同で実施する。日本向けのCMを宇宙で撮影するのは、1991年の大塚製薬ポカリスエットのCM以来2本目となる。

 SPACE FILMSは、宇宙航空研究発機構(JAXA)が宇宙をテーマにした新しいビジネスや技術開発を支援する制度「宇宙オープンラボ」を使って創業した、宇宙での映像制作を手がけるベンチャー企業だ。同社代表取締役社長で創業者の高松聡氏は、電通のクリエイティブディレクターも兼任しており、ポカリスエットの宇宙CMや日清カップヌードルの「NO BORDER」シリーズにも携わっている。

宇宙でのCM撮影について、そもそもの動機は「子供の頃から宇宙が好きだったこと」と話したSPACE FILMS社長の高松聡氏

 現在ISSには業務用品質でCMを撮影できるビデオカメラが用意されていないため、SPACE FILMSではソニー製の業務用HDカメラ「HVR-Z1J」を宇宙に運ぶことにした。HVR-Z1Jを宇宙でも利用できるように熱耐性を高めるなどの改造をほどこし、ロシア宇宙庁の打ち上げるロケットに積み込むことで同庁と契約を交わした。また、ISS内へのカメラの常備、カメラの独占使用権についても契約を結んでいる。

 CMの撮影はHDカメラの撮影訓練をしたロシアの宇宙飛行士が担当する。今回カメラマンとなるトカレフ宇宙飛行士とHDカメラ1台、ビデオテープ5本を載せたソユーズロケットは10月1日に打ち上げの予定。ロケットがISSにドッキングした後、10月6日から8日にかけてCMを撮影する。CMの公開は11月上旬の予定となっている。

 なお、ポカリスエットのCMの際はJAXAが実験用にISSに持ち込んだビデオカメラを使っていた。このため、民間保有のビデオカメラを使ったCM撮影は今回が世界初ということになる。

 撮影時の映像はモスクワ管制センターにてリアルタイムでモニターできるため、音声で演出の指示をするという。ただし画質については「演技指導が何とかできるレベル」(高松氏)で、撮影したビデオテープは10月中旬にソユーズロケットが地球に戻る際に運ばれる。

 将来的にはビデオテープを地上に持ち帰ることなく、リアルタイムにHDビデオ画質の映像を地球に転送したい考え。ただし「基礎技術は完成しているが、誰が実現のためのコストを負担するかといったことを含めて実現時期は未定」と高松氏は述べた。

 CM撮影終了後、HDカメラはISS内に常備される。これにより、今後は技術的な検証や契約整備といったコストをかけずに宇宙でのCM撮影が可能になる。「今まで数億円の費用がかかっていた宇宙でのCM撮影を1億円程度で作成できるようになる」(高松氏)。ただし、1本のCM制作料金については「『宇宙飛行士1人が1時間でいくら』といった料金表を用意できるものではなく、今回CMを作成した上で検討したい」と述べるにとどまった。

 SPACE FILMSにはCM撮影以外のオファーもあり、NASAから2006年3月のスペースシャトル打ち上げの際、シャトル外周タイルの損傷分析のための外観撮影依頼を受けているという。また、個人宇宙旅行を提供する「スペースアドベンチャーズ」が提供する個人宇宙旅行の記録などについても検討しているとのことだ。

 SPACE FILMSでは今後、ソユーズが打ち上げられる年2回のタイミングでそれぞれ1本以上のCMを制作したい考え。売上目標については「まだ具体的に出すのは難しいが、宇宙CM作成の代替手段がないため、日本だけでなく世界からオファーがあるのではないか」(高松氏)と述べた。

 なお、宇宙空間では放射線の影響によりHDカメラの受光素子が1日数個単位で故障するが、カメラの寿命については「研究課題」としており、今後JAXAと協力して実証実験を進める予定だ。

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