米教授が独自のシスコ技術教科書を無料で配布 - (page 2)

Marguerite Reardon (CNET News.com)2004年07月07日 09時42分

出版事業の最前線

 YoungがRed Hatの共同設立者の1人でもあることを考えると、Lulu.comがこの新たなオープン形式の出版の最前線にいることにも納得がいく。Red Hatは、MicrosoftのWindowsオペレーティングシステム(OS)と競合するオープンソースの無料OS、Linuxを商品化した企業だ。

 Youngによると、Lulu.comの使命は作家と消費者に力を与えることだという。同社はこれまで、大手出版社に無視されていた教育者や作家たちに発言権を与えてきた。

 「Bashamは、わが社がなければ本を市場に出せなかった人の好例だろう」とYoungは述べている。

 Bashamはもともと、CiscoがCisco Networking Academyの一部として出版している書籍を補うため、自作のマニュアルを3年前に書いていた。Cisco Networking Academyは、Ciscoのネットワーク製品の使用方法に関するトレーニングプログラムだ。

 Ciscoは1997年に、Cisco Certified Network Associate(CCNA)およびCisco Certified Network Professional(CCNP)の認定試験のための準備教材として、Cisco Networking Academyプログラムを開発した。このプログラムは高校や専門学校、カレッジ、総合大学、各地のコミュニティにある組織などで開講されており、現在その範囲は145カ国および米国の50州全州に及ぶ。これまでの受講者数は26万人以上、開講されたCisco Academyは9800以上に上る。Ciscoプログラムの費用は場所によって異なり、セントピーターズバーグカレッジでは全Cisco Academyクラスの受講料は約2200ドルに達する。他の私的な組織で受講すれば、受講料は7000ドルもかかる場合もある。各クラスで推薦されている本や技術ジャーナルには、受講生1人あたり合計で200ドルかかる。

 Ciscoは、こうしたプログラムやカリキュラム関連教材の売上などからは利益は得ておらず、このプログラムで得た売上を再度このプログラムに投資している、と同社広報担当のHeather Goodwinは述べている。

受講者の負担を軽減

 それでもBashamは、Lulu.comを利用することで、学生がこのコースを受講する上での金銭的負担を軽減できる。同氏の書いた本はLulu.comから完全に無料でダウンロードでき、1部25ドルでそれを印刷させることも可能だ。Ciscoの教科書が書店では100ドル前後で売られていることを考えると、これは破格の値段と言えるだろう。Bashamと共同執筆者らは、本が1冊印刷されるごとに5ドルの印税を受け取り、残りは出版コストとしてLulu.comが受け取る仕組みになっている。

セントピーターズバーグで学ぶTina McGuireという33歳の学生は、新しい教科書1冊に100ドルも使わなくて済むことを喜んでいる。彼女は昨年カレッジで学び直そうと、学費と生活費用に2万ドルのローンを借り入れたからだ。

 「ほんのちょっとしたことでも助かるわ。何かを無料で手に入れられて嬉しい。これは学生のために何かをしてあげたいというMatt流のやり方だと思う。彼は私たち一人ひとりのことを親身になって心配してくれる」(McGuire)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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