今回、「iPad」と共に、Appleブランドのチップも発表された。
「A4」(「A」はAppleを指すと思われる)と呼ばれるこのチップと「iPhone 3GS」に搭載されているチップの最大の違いは、速度である。iPadに搭載されるA4の動作周波数は1GHzなのに対し、iPhone 3GSは推定600MHz(0.6GHz)。米国時間1月27日、サンフランシスコで開催されたイベントにおいて、A4はAppleがこれまで取り組んできた中で「最も先進的なチップ」として宣伝された。A4は高速である上に、省電力性にも優れている。AppleのiPadウェブページによれば、「A4チップの卓越した電力効率性により、iPadは10時間ものバッテリ寿命を誇る」という。
定義上、A4はメインプロセッサとグラフィックスチップ、さらにメモリコントローラなどの機能を単一のチップ上に統合したSOC(system-on-a-chip)であり、Intelが次世代のAtomプロセッサである「Moorestown」で目指しているものと同じである。また、iPhone、Googleの「Nexus One」、Motorolaの「Droid」といったスマートフォンでは、既に同様のSOCチップアーキテクチャが使われている。
AppleがiPhone 3GSで達成した成果を考えると、A4のインターフェースはきびきびと動くはずだ。もちろん、全ての3G接続対応スマートフォンおよびノートPCと同様に、3Gサービスがパフォーマンスのボトルネックになることはよくあるが、これはプロセッサの問題ではない。
そして、3Gと言えば、iPadは2種類のAT&Tプランを提供する。1つは月額15ドルで最大250Mバイトのデータ量を利用できるプランで、もう1つは月額30ドルの無制限プランだ。なおiPhone 3GSでは、Infineonが3Gチップの供給元である。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は、CNETが配信したイベントの動画の中で、iPadを「今までの最高の(ウェブ)ブラウジング体験」と評し、「目の前にウェブページ全体が表示され、それを指で操作することができる。ノートPCよりも遙かに優れている」と述べた。もちろん、そうしたブラウジング体験は、ユーザーが画像や動画にアクセスした際にバックグラウンドのタスクを処理するチップの能力に依存する。
A4に話を戻すと、Northeast SecuritiesのアナリストであるAshok Kumar氏は、同チップはAppleのP.A. Semiチームによる開発作業の成果である、と述べる。Apple自身はA4について、「われわれがiPad向けに設計したカスタムチップ」だと話している。
Appleは2008年にP.A. Semiを買収した。そして、AppleがAppleブランドのチップを公の場で発表するのは今回が初めてだという事実は指摘しておくべきだろう。
テクノロジコンサルティング企業のEnvisioneering Groupでディレクターを務めるRichard Doherty氏は先週の取材時に(27日に発表される製品が何のプロセッサを搭載するは分からないとしたうえで)、Appleのチップテクノロジと、英国に拠点を置くARMから基本設計のライセンスを得ているQualcommやFreescaleなどの企業による競合チップを比較して、次のように述べた。「年内にAppleは、業界内で最も強力で低価格のSOCを使い始めるだろう。わたしの知る限り、ARMからライセンスされている企業やIntelは、1ワット当たりのパフォーマンス、1ドル当たりのパフォーマンス、1立方mm当たりのパフォーマンスでこれを満たす製品を出していない。Appleはパフォーマンスとバッテリ効率、コストの面で、ライバルよりもかなり優位に立てるだろう」(Doherty氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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