Intelは米国時間11月15日、スーパーコンピュータ向けに最適化された新バージョンの「Intel Xeon」プロセッサラインを発表し、16日には、今後のスーパーコンピュータ開発でNECと提携することを明らかにした。
Intelは、オレゴン州ポートランドで開催されているスーパーコンピュータのカンファレンスSC09で、スーパーコンピュータ向けに最適化された新バージョンの「Nehalem-EX」(開発コード名)プロセッサを発表した。このプロセッサは6コアで、8コア版のNehalem-EXプロセッサより実行速度が高く、スーパーコンピュータ特有の作業に有利だとIntelは声明の中で述べている。なお、Intelでは、スーパーコンピューティングを「High Performance Computing(HPC)」と呼んでいる。
Intelによれば、このプロセッサアーキテクチャにより、メモリの速度と容量が大幅に向上し、単一コンピュータすなわち「ノード」に最大で256個のプロセッサを搭載できるようになるという。このプロセッサの発売は2010年の予定だ。
Intelは同声明で、17日に正式発表予定のスーパーコンピュータランキング「TOP500」に入ったスーパーコンピュータのうち、5台に4台がIntelのプロセッサを搭載していると述べている。
さらにIntelは、日本のトップクラスのスーパーコンピュータベンダーであるNECと提携して、「スーパーコンピューティングのパフォーマンスの枠を超える」テクノロジの共同開発に乗り出すことを、2社の共同声明で明らかにした。
NECは、このテクノロジを未来のスーパーコンピュータに利用する。Xeonプロセッサに加えて、Intelのx86命令セットの拡張版である「Intel AVX(Intel Advanced Vector Extensions)」などのテクノロジがベースとなるスーパーコンピュータだ。
Intelによれば、AVXは、2011年に登場予定の次世代マイクロアーキテクチャ「Sandy Bridge」(開発コード名)で使用される予定だという。
「Intel XeonプロセッサベースのシステムにNECが新たなイノベーションをもたらすことで、IntelはIntel Xeonプロセッサのパフォーマンスをさらに多くのスーパーコンピュータ利用者に提供できるようになる」と、IntelのHPCグループでゼネラルマネージャーを務めるRichard Dracott氏は声明の中で語っている。
また、NECのHPC事業部長である久光文彦氏は、「ベクトル演算処理システムの開発におけるNECの豊富な経験は(中略)Intelのアーキテクチャを新しい市場に広めるのにうってつけだ」と述べている。
ベクトルプロセッサは、複数のデータ要素の演算を同時に実行できる設計になっている。Intel Xeonプロセッサが得意としているのは、一度に1つのデータ要素を扱うスカラ処理だ。
提携の当面の目的は、メモリの速度と拡張性を向上させるテクノロジの開発になる。ここで言う拡張性の向上とは、システムの拡張によるパフォーマンスや容量の向上だ。「こうした機能強化の目的は、非常に高度な科学計算が必要な市場を狙うことにあるだけでなく、もっと規模の小さいHPCシステムにメリットをもたらすことにある」と両社は述べている。
NECは、既存のベクトルプロセッサベースの製品であるSXシリーズも引き続き販売する予定だ。たとえば、同社は現在、「SX-9」などのスーパーコンピュータを販売している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス