クラウドサービスを使うことのあまり魅力的でない一面は、さまざまなアプリケーションを統合するということだ。この統合は、クラウド内のアプリケーションと企業内のアプリケーションの両方を、容易に管理できる方法で行われる。現実的な利用の一例は、1つの顧客関係管理(CRM)システムと別のファイルストレージシステムの両方をクラウド内で使用する能力を持たせることだ。
そうした事情から、筆者が米国時間10月23日、Box.netが同社のクラウドベースのストレージサービスにSalesforce.comを直接組み込んでいるのを見たとき、クラウドストレージと統合という2つの主要なトレンドの合流が一挙に現れているのを確認した。
Salesforce.comはこれまで、クラウドサービス分野で先導者であり続け、他のサービスを自社サービスの中に組み込む方法を一貫してユーザーに提供してきた。Salesforceはまた、すでにオンデマンドサービスを利用している同社の膨大な顧客基盤を利用したいと考えているベンダーにとっては、主要なターゲットにもなっている。
だが、Salesforceは一部の面で絶対確実とは程遠く、たとえばファイルの保存は多少使い勝手が悪いうえ、これを自前の情報ストレージシステムとして使い始めると間違いなく費用がかさむ。
Box.netのビジネスユーザーは、この新サービスを利用することで、Box.netアプリをSalesforceのアカウントに追加し、Salesforce.comのインスタンス内から直接文書やメディアなどのファイルにアクセスできるようになる。また、保存できるファイルの容量は無制限になる。
かなり平凡なサービスのように聞こえるが、これはコラボレーションの未来だ。顧客が求めているのは、最良の組み合わせのソリューションを使用することであり、サードパーティーのインテグレータを使うことを強いられることなく、えり抜きのアプリケーション群を直接組み込めるようになることだ。
Phil Wainewright氏は、ZDNetで次のように指摘している。
Box.netはまだ、トップクラスのクラウドプロバイダーではないので、完全な冗長性を持つアーキテクチャをまかなえるようになるまで拡大を続ける必要があるかもしれない。だが、同サービスの顧客の大半を占める中小企業市場においては、利便性と競争力のある価格設定も重要な検討事項になる。
まさにこうしたやり方によって、Box.netのような会社がより重要な存在へと成長することが可能になる。顧客の需要は、ちょうどSalesforce.comの成長で果たした役割と同じように、Box.netに資金をもたらしてアーキテクチャの成長を支えるだろう。また、筆者にはBox.netがこの分野で最終的な勝者となるという確信はないが、これはBox.netにとって筋の通ったサービスであり、Salesforce.comユーザーにとっては魅力的な追加機能だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」