景気後退がOSSの導入を促進、コスト削減へ期待集まる

 IDC Japanは10月15日、国内企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態を調査した結果を発表した。OSSをすでに導入している企業は17.1%であり、具体的に導入を検討している企業は7.1%、これから導入を検討していく企業は17.9%という結果となった。

 この調査は8月に実施したもので、対象企業は国内企業3939社となっている。

 具体的に導入を検討していると回答した企業280社のうち、47.1%は、2008年の金融危機以降の不況によるIT投資削減がOSSの導入検討のきっかけとなったと回答していた。現在の不況がOSSの導入を加速させるひとつの促進要因となっているとIDC Japanでは分析している。

 1次調査でOSSをすでに導入している、もしくは導入を検討していると回答した企業1088社を対象に、さらにOSSの利用実態について調べたところ、すでに実施済みのプロジェクトでは「Apacheを使用したウェブサイトの開発」が23.5%と最も多く、「Linuxサーバの新規導入」が22.3%で続いた。

 一方、実施を検討しているプロジェクトでは「OSSのオフィスソフトウェアの導入」が20.5%と最も多かった。また、「Linuxデスクトップの導入」も16.1%おり、デスクトップ環境へのOSS導入機運が高まりつつあるという。

 このほか、検討中のプロジェクトでは「WindowsサーバからLinuxサーバへの移行」(19.2%)、「OSSの業務アプリケーション(CRM、ERM、グループウェアなど)の導入」が続いた。OSSの業務アプリケーションに対する利用意向は高く、OSSの適用範囲が拡大の傾向にあるようだ。

 OSSを使用することによるメリットとデメリットについて聞いたところ、メリットとして「導入コストを削減することができる」という回答が46.4%で最も多く、「運用コストを削減することができる」(37.5%)、「ソフトウェアの選択肢が拡がり、自社に最適なものを探すことができる」(28.1%)、「ベンダー依存から解放される」(25.8%)と続いた。

 デメリットとしては「緊急時のサポート対応が迅速にできない」が34.2%で最も多く、サポートへの不安がOSSにとって最大の問題であるようだ。このほか、「バージョンアップなど将来のプロダクトが見えない」(28.5%)や「使用するOSSとそのコミュニティがいつまで存続するか分からない」(26.6%)など、OSSの将来性に関する不安の声も挙がっていた。

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