World Wide Web Consortium(W3C)は、Appleのソフトウェア自動アップデートに関する特許について、同社がこれを策定中のウェブ標準にロイヤリティフリーでライセンス供与することを拒否したため、対抗策を模索している。
W3Cは米国時間6月12日、Appleが保有する特許(米国特許番号第5764992号)に関連する先行技術を探していることを明らかにした。これはつまり、Appleの特許申請以前から該当する技術が使われていた例を探しているということだ。Appleが1995年に申請し、1998年に付与された特許は、申請書類で以下のように説明されている。「コンピュータ上で実行中のソフトウェアプログラムが、完全に自動化された形で新しいバージョンに置き換わる。この際、同プログラムの主要機能が中断されることはなく、コンピュータのユーザーに完全に見える形で行われる」
W3Cは、ウェブページの記述に用いられるHTMLや画像フォーマットのPortable Network Graphics(PNG)などの標準を監督する団体で、現在「Widgets 1.0: Updates」と呼ばれるドラフト標準の策定に取り組んでいる。これはウェブベースのアプリケーションを対象に、自動アップデートの方法を定める仕様だ。Appleは3月、W3C標準が定めるロイヤリティフリーのライセンス方針に当該特許の30項目にわたる特許クレームを含める意向がないことを明らかにしている。
こうした中、W3Cは標準の策定を続けながら特許問題に対処するため、特許諮問委員会(Patent Advisory Group:PAG)を設置した。
W3Cは、先行技術に関する調査について次のように述べている。「PAGは、Widgetsにおけるアップデート機能の使用について利用可能な解決策となり得る、1995年6月以前に存在したソフトウェアのアップデートシステムに関する情報を求めている。こうした情報は、開示された特許を開発者が侵害することなく、当作業部会の目標を達成できる仕様を策定する道を開くのに役立ちうるものだ」
先行技術が見つかれば当該特許が覆される可能性もあるが、W3Cの広報担当者Ian Jacobs氏によれば、同団体では今後の対応についてまだ結論を出していないという。
「情報が集まれば、選択肢も広がる。1つの起こりうる結果として、仮にわれわれが先行技術を探し出せた場合の話だが、この特許が見直される可能性もある。実際に先行技術が存在することが判明した場合には、次の議論の材料になるだろう」(Jacobs氏)
Appleは、現時点でコメントの求めに応じていない。
ドラフト仕様策定の取り組みは、PAGが特許問題に対処する間も継続可能だとJacobs氏は述べているが、特許問題が事態を複雑化させるのは間違いない。「それ(特許問題)が仕様策定に影を落とすことになるだろうか。答えはイエスだ。われわれが特許の範囲についてさらに把握するまでは(そうした状況が続くだろう)」
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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