先週、オーストラリアのシドニーを訪れたMicrosoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏は饒舌だった。同氏は、もはやYahooの買収に関心はないと述べ、Googleは一体どうやって「Android」で利益を得るつもりなのか分からないと指摘した。また、次期大統領Barack Obama氏の指導力に期待しているのだそうだ。
そして、米国時間11月7日、Googleの「Chrome」やAppleの「Safari」で使われているオープンソース・ブラウザレンダリングエンジン「WebKit」の使用をMicrosoftが「検討するかもしれない」とも発言した。もっとも、Computerworldにもあるように、同氏はそうした考えを本気で言ったわけではない。Ballmer氏は、主要ライバルであるこの2社について、それ以上に追随すべきもの、つまりアプリケーションプラットフォームがあるというのだ。Microsoftが巨大な投資をしているソーシャルネットワークFacebookにしても、アプリケーションプラットフォームを擁している。
同氏はWebKitのオープンソース性に「関心がある」ことは認めたものの、今のところはInternet Explorer(IE)でTridentレンダリングエンジンを使うことにこだわっているとし、次のように理由を説明した。
「IEについては、社外を含め、今後も多くの技術革新が私有の形で生み出されていくだろう。だから、当社のような企業は(自社の)レンダリングサービスを保有している必要がある。(インターネットの)標準に準拠しつつも、標準化団体に先駆けて革新し得るブラウザを持っていることが重要なのだ」
同氏の目には、開発者と消費者をつなぐことの方がコラボレーティブに映るようだ。
「実際、よい先例がある。中でも、FacebookやiPhoneは開発者による自作アプリケーションの配布に配慮がなされている点がいい」と述べ、独立系の開発者がプラットフォーム固有のプログラムを簡単に作成、販売し、配布できるFacebook Platformのほか、AppleのiPhone SDK、iPhoneとiPod Touch向けのApp Storeを例示した。
プラットフォームに向けたこうした動きには、開発者の関心を引きつけるという思惑がある。Microsoftは、実際、この戦略の有効性に気付きつつある。iPhoneのSDKは、公開直後に多くの開発者の手に渡り、また、AppleがiPhoneソフトウェアの機密保持契約(NDA)を終了させてからは、さらにその勢力を増している。
Ballmer氏は開発者らに対し「彼らのおかげで、開発者たちは自分のアプリケーションを簡単に人目に触れさせることができるようになった。たくさんの利益が上がっているわけではないが、開発者にコードを配布する方法だけでなく、その認知度を向上させる方法を提供している点が良い」と述べた。
MicrosoftはWindows開発者に同様のコンセプトのプラットフォームを提供するのだろうか。時間の経過とともに、答えが明らかになるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」