Microsoft Office 2007の最新版で作成されたWord文書が、国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)が現在開発中のOffice Open XML標準に準拠していないことが、ある文書標準の専門家が行ったテストから明らかになった。
ISOでOffice Open XML(OOXML)標準の保守を担当するグループのリーダーを務めるAlex Brown氏は、先週行ったブログ投稿の中で、Microsoft Office 2007で作成された文書がISO OOXMLドラフト標準の最新仕様に準拠していないことを明らかにした。
Brown氏は、ISO/IEC 29500標準に定義されている「厳格」かつ「暫定的な」スキーマに対する文書テストのプロセスを詳述したブログ投稿の中で「Microsoft Office 2007の最新版で作成されたWord文書はISO/IEC 29500に準拠していない」と述べている。
Microsoft Office 2007は、ファイルをXMLベースのフォーマットであるOOXMLで保存する。OOXMLは、業界団体Ecmaが標準化を目指してISOに提出した。ISOが4月はじめに行った採決でOOXMLは僅差でドラフト国際標準として承認されたため、現在、OOXMLはISOの管理下にある。
しかし、ISOの投票解決会議(BRM)でOOXMLにいくつかの変更が加えられたため、Office 2007で作成された文書はもはやOOXMLをベースにした現在の標準「ISO/IEC 29500」には準拠していない、とBrown氏は指摘する。
Brown氏は18日にZDNet UKに送付したメッセージの中で、Office製品がISOが承認したOOXMLのバージョンに準拠するように、Microsoftが同製品をアップデートすることを希望するが、実現する保証はないと述べている。
「現在のOOXMLをめぐる多くの議論の最大の問題点は、果たしてMicrosoftは本当に(準拠に向けて)行動するのかということだろう。それはいずれ分かることだ」(Brown氏)
XMLを発明したTim Bray氏など、多くの業界関係者は、OOXML標準はISOの中で発展している標準なので、Microsoftがわざわざ同標準への準拠を維持する可能性は低いとしているが、Brown氏はより楽観的だ。
Brown氏は、「MicrosoftがOffice XMLファイルフォーマットの変更に同社の各種Service Packで対処可能であることはすでに証明済みだ。その点を考慮し、私はMicrosoft Officeが間もなく(ISO/IEC)29500標準に準拠し、その後も準拠を維持することを期待している」とし、さらに「確かに、29500をISO/IEC標準として承認する大きなモチベーションとなったのは、Microsoftが将来、今回のように標準への準拠を突然打ち切るのを阻止することにあった」と付け加えた。
Brown氏はさらに、標準コミュニティ内の良き市民となることは、商売上大きなメリットがあることをMicrosoftも認識しているだろう、と付け加えた。
「OOXMLを国際的に情報が開示された標準とすべく積極的に活動することは、デスクトップオフィス分野で同社が握っている膨大なシェアの維持に役立つ。というのは、そのような活動を行うことにより、Officeが、ベンダーがコントローするプロプライエタリなフォーマットに準拠しているとの批判が払拭されるからだ」(Brown氏)
Brown氏は将来、再度テストを実施し、Microsoft Officeに代わるオープンソースのオフィス製品であるOpenOfficeが、文書標準OpenDocument Format(ODF)のOpen Source Initiative(OSI)版であるISO/IEC 26300に準拠しているか否かを確認したいと考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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