相変化メモリ(PCM)にとっては長い道のりだったが、ようやくゴールが見えてきた。
STMicroelectronicsとIntelが共同で設立したメモリの合弁企業Numonyxは、すでにPCMのサンプル出荷を開始しており、2008年中にPCMチップの商用出荷を開始する予定。同社の最高経営者(CEO)、Brian Harrison氏が米国時間3月31日に開かれた記者会見で明らかにした。
Harrison氏は、「2008年内に(PCMの)発売を予定しており、多少の売り上げを見込んでいる」とし、さらに「1、2年後には、広範囲で市販されるようになる」と語った。
NumonyxのCEOから、既存のサンプルや間もなく始まる商用出荷について語られるというのはPCMにとって大変重要なことだ。PCMは長い間、「数年先(には発売される)」と言われ続けてきたからだ。
アナリストのRichard Doherty氏は2001年に、「(PCMは)2、3年以内にフラッシュメモリよりも安くなる可能性がある」と語っていた。また同氏は、PCMは2003年に発売されると予想していた。
Intelのフラッシュメモリ専門の科学者の1人であるStefan Lai氏は2002年に、「(PCMの開発は)順調に進んでいる」と述べていた。
Intelの共同設立者でムーアの法則の名前の由来にもなったGordon Moore氏は、1970年9月28日に発売された雑誌「Electronics」に掲載された記事の中で、相変化メモリの1種であるOvonics Unified Memoryが1970年代末に発売されると予想していた(Electronicsの同じ号には、「The Big Gamble in Home Video Recorders(ホームビデオレコーダーにおける大いなる賭け)」という記事も掲載されていた)。
PCMの発売が遅れた主な原因は2つある。1つ目は、PCMは習得が難しい技術であるということだ。PCM内では、小型レーザーが基板上の微小ビットを摂氏150〜600度まで加熱する。基板にはコンパクトディスク(CD)と同じ素材が使われている。加熱によってビットは溶解するが、冷却されると凝固し、2つの結晶構造のうちの1つとなる。どちらの結晶構造になるかは冷却の早さによって決まる。それらの2つの結晶構造は、電流に対し異なるレベルの抵抗を示す。そして、それらの異なるレベルの抵抗がコンピュータによって順繰りに1と0に変換され、データが生成される。
Harrison氏によると、IntelとSTはともに、過去数年間にその素材を制御することついて大きな進歩を遂げたという。
2つ目は、フラッシュメモリメーカーらが技術を改善し続けていることにある。2001年には、フラッシュメモリは65ナノメートルレベルのチップ設計で壁に突き当たるだろうという考えがあった。今日、製造業者らは65ナノメートルでフラッシュを大量生産し、45ナノメートルのサンプルも実現している。Numonyxは32ナノメートルのNOR型メモリサンプルを持っている。既存の技術が有効であるにもかかわらず乗り換える理由はあるのだろうか?
また、IntelとSTは過去数年間に、標準的なチップ向けに開発された製造ラインでPCMチップを生産する方法を研究し進展させてきた。これにより、PCMをリリースする妨げとなっていた障壁が次第になくなりつつある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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