Advanced Micro Devices(AMD)は新しいデスクトップ向け4コアプロセッサ「Phenom」シリーズ2製品の出荷が遅れていることを認めた。同社の苦戦は続いている。
AMDの関係者は、第1四半期に予定されていた「Phenom 9900」と「Phenom 9700」の出荷が第2四半期に延期されたというArs Technicaの報道を認めた。しかし、同関係者は、2007年12月に発見されたTLBエラッタと出荷延期の関係については強く否定した。このエラッタは、類似した設計図をベースとしているBarcelonaサーバチップとPhenomの出荷計画に支障を生じさせている。
このチップの遅延に代わり、AMDは3コアチップに集中し、Phenomシリーズのうちエネルギー効率の高いチップ2種類の出荷を前倒しする計画である。同社は、これは顧客の要求による措置だと説明しているが、これは同社のみならず多くの企業が自己弁護する際の決まり文句となっている。本当に顧客が望んだことであれば、12月のアナリスト向け説明会で明らかにできたはずだ。
わずか1カ月前にAMDは、Phenomは第1四半期の出荷に向け順調に進んでいると発表している。PCの設計段階には数カ月かかるためHewlett-PackardやDellが第1四半期に必要としていたチップが処理能力の高いものではなくエネルギー効率の高いものだったとすれば、かなり前にわかっていたはずだ。AMDのアナリスト向け説明会に合わせてロードマップをアップデートするにも間に合ったはずだろう。
同関係者は、「リソース」上の制約が多少あることを認めている。つまり、「チップの製造工場は限られており、製造したくても、できるチップは限られている」ということだ。AMDが第1四半期に力を入れる予定の3コアチップは、1コアだけ不備がある4コアチップを再利用するための建設的なやり方である。エネルギー効率の良いチップは9900や9700よりも低いクロック速度で動作すると予想されており、その分製造は容易である。
全体的に見て、このスケジュールの遅れは、AMDをそれほどには苦しめないかもしれない。ゲーマー向けPC以上に、人々が実際にデスクトップPCで4コアチップを望んでいるという証拠はまだほとんど無い。4コアをうまく活用できるデスクトップソフトウェアはあまり多くないし、4コアを要求するレベルまでマルチタスクで作業している人もあまり多くはない。
しかし、これはAMDが自社のイメージを回復する助けにはならない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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