幕張発--「BiCS」、これがムーアの法則を広げる鍵となる語だ。
BiCS(Bit-Cost Scalable Flash Memory)は東芝が開発した3Dフラッシュメモリチップで、トランジスタが垂直方向に積み上げられている。理論的には垂直に積み重ねれば、安定してより多くのトランジスタをチップに追加していくことが可能になり、結果的に電子機器において継続的で安定した改良が可能になることを意味する。コストは下がり性能は上昇し、だれもが顧客の希望に応じて新製品を販売し続けられるようになる。
同社は開発サンプルを作成し、学術会議でこの技術に関して議論してきたが、千葉で10月2日から6日まで開催されているエレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2007」で初めてそのコンセプトを一般に展示している。
重要な点はこの3Dチップが書き換え可能ということだ。普通のフラッシュメモリチップと同じように、データの書き込みと消去ができる。SanDiskに2005年に買収されたMatrix Semiconductorも3Dチップを開発しているが、こちらのメモリセルは書き換えができない。一度データが書き込まれるとそのままずっと残る。
展示された立体モデルが仕組みを説明している。緑色のレイヤがシリコンゲートだ。空いているスペースはソースとドレイン(出力ターミナル)だ。ソースからドレインへ流れる電子が存在するかしないかが1と0として登録され、コンピュータデータの基本を形成する。
長くて細い黄色のポールはシリコンピアだ。このピアは電子の流れを管理する。通常のトランジスタでは、ゲート(入力ターミナル)とシリコン(電子の流れを管理する)をつなぐ表面積は比較的限定されている。この展示モデルでは、ピアとゲート間の接合する周辺すべてが活用されており、ゲートとシリコンを接続する表面積が増加し、それゆえに性能が向上する。
この概念はIntelが開発したTri-Gateトランジスタや、IBMが開発したFinFETトランジスタと同様だ。
東芝は90ナノメートルプロセスでサンプルを作成した。
この総合展でおそらく最も包括的な出展だった東芝だが、そのほかの展示には何があるだろうか。まず、次世代プロセッサ「Cell Broadband Engine(Cell/B.E.)」をベースにした新プロセッサ「SpursEngine」だ。
これは「PLAYSTATION 3」に使われたプロセッサの小型版だ。メディアストリーミング処理にプロセッサコア「SPE(Synergistic Processor Element)」を8基使用するのではなく、SpursEngineではSPE4基を搭載する。このSpursEngineの概念はパソコン内部のコプロセッサとして動作することで、グラフィックスを強化したり写真などの画像を通じた検索をコンピュータが実行しやすくする。
東芝はまた、燃料電池搭載の小型テレビを出展した。燃料にはメタノールを使用して連続10時間のテレビ視聴ができる。従来の試作品では、燃料電池は本体とは分かれていた。
東芝は燃料電池を搭載した製品の販売を視野にいれており、同社の広報担当によると2008年か2009来年の販売開始を想定しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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