Linuxプロジェクトの中心人物であるLinus Torvalds氏は、間もなく発表される「GNU General Public License version 3」(GPLv3)は採用する価値があるとの確信を同氏に抱かせる可能性のあるものをついに発見した。それは、Solarisのオープンソース版である「OpenSolaris」だ。
Torvalds氏は米国時間6月10日、Linuxカーネルのメーリングリストに投稿したコメントで、「仮にSun(Microsystems)が本当にGPLv3の下でOpenSolarisをリリースするのであれば、(LinuxをGPLv3に移行させる)十分な理由となりうる」と述べ、さらに次のように続けた。「GPLv3が(GPLv)2ほど優れたライセンスだとは思わないが、一方で、私は実用主義者だ。仮に2つのカーネルを2つの異なるライセンスの下で所有し、それにより生じる摩擦を回避できるのであれば、それだけでもGPLv3を採用する理由になると考える」
Torvalds氏は、最も知名度の高いオープンソースプロジェクトの中心人物として、長引くGPLv3正式版の策定に関し重要な役割を果たしている。現在、Linuxの中心部分であるカーネルにはGPLv2が適用されている。Torvalds氏と仲間のカーネルプログラマーたちは、GPLv3のドラフト版に盛り込まれている新条項について深い懸念を表明してきた。Torvalds氏は、GPLv3の最新のドラフト版に関する一部の不満は控えめな表現に留めたが、同氏は依然として、GPLv2の方が「単純により優れたライセンス」と考えている。
ライセンスをめぐる議論の中でも特にこの分野で争点となっているのは、ソースコードに関して単一の器のなかで、LinuxとSolarisとを混ぜ合わせることが可能か、あるいは現在のように、それぞれ別個に存在させ続けるべきかという点だ。LinuxとSolarisを混ぜ合わせるメリットとしては、Solarisの「Zettabyte File System」(ZFS)ストレージソフトウェアや「DTrace」と呼ばれる分析ツールをLinuxに追加したり、あるいは逆にLinuxのより広範なハードウェアサポートをSolarisに追加する、などが一般に挙げられている。しかし、たとえ法的な障害が除去されても技術的課題は依然として残る。
2月、OpenSolarisコミュニティーのメンバーが、SolarisがGPLの下でリリースされる可能性について憤りを表明した。しかし、SunはSolarisの著作権は保持している。同社の最高経営責任者(CEO)であるJonathan Schwartz氏は5月、GPLv3の登場により、「(Sunが)ライセンスを1つに絞れるようになる」ことを期待すると語った。
しかし、Torvalds氏はこれまで、否定的な警告的発言を繰り返し、Linux、Solaris間の相互交流の時代の到来を熱望する人々に冷水を浴びせてきた。例えば、同氏はSunの数々の発表について楽観視していない。
Torvalds氏は後にメーリングリストに投稿した「悲観的な予測」の中で、「(Sunは)人々が待ち望んでいるZFSやその他の製品をLinuxが対等な立場でそれらを利用できるような形ではリリースしない」と述べ、さらに次のように続けている。「Sunにとっては、GPLv3のみに基づいて(製品を)リリースすることにより世間に良い印象を与えられる。また、LinuxがSun製品の興味深い部分を取り入れるのを阻止し続ける一方で、彼らは少なくともLinuxの一部を何1つ見返りを提供することなく入手できる」
Torvalds氏は、Sunが同氏の予想や選択を裏切った例として、SunがJavaをGPLの下でリリースしたことを挙げ、自分が間違っていた可能性があることを認めた。
Torvalds氏は、「良いニュースは、Jonathan Schwartz氏が実際に変えようとしているようだということだ。彼が言っているとおりに、彼がオープンソースについて深刻になっていることを祈っている」と述べ、「私を誤解しないでもらいたい。私はGPLv3を採用したSolarisは、心の底から素晴らしいことだと思っている。それがたとえ、コードに関する限りでは、1方通行ということになってもだ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」