Microsoftの資金援助の下で運営されているオープンソースプロジェクトが米国時間2月2日、Microsoft Officeと、そのライバルであるOpen Document Format(ODF)規格の間でファイルフォーマットの変換を行うトランスレータを公開する予定だ。
Microsoftは2006年、3社のパートナーと組み、SourceForgeでのプロジェクトを開始している。このプロジェクトで開発されているのは、2種類のフォーマットでワープロ文書を開いたり、保存したりするためのコードだ。
MicrosoftのフォーマットであるOffice Open XML(OOXML)は、同社が最近発売したばかりの「Office 2007」スイートで採用されている。もう一方のフォーマットODFは、Microsoftの競合であるIBMやSun Microsystems、Novellが支援している。
このたび公開されるトランスレータは「Microsoft Word」のプラグインとして利用する。Microsoftによると旧来版のOffice 2003、Office XPだけでなく、最新版のOffice 2007にも対応するという。このプラグインをインストールすることにより、ユーザーはWordを使ってODFフォーマットの文書を開いたり、保存したりすることができるようになる。
ソフトウェアはオープンソースソフトウェアでよく使用されるBSDライセンスの下、SourceForgeで2日より無料で配布される。Microsoftによれば、自社のウェブサイトでも提供開始する予定だという。
MicrosoftでXMLアーキテクチャおよびインターオペラビリティを担当するゼネラルマネージャーのJean Paoli氏によると、このプロジェクトを進めてきたパートナーらのグループは今後、Microsoftのスプレッドシートソフト「Excel」とプレゼンテーションソフト「PowerPoint」で作成したファイルをODFのファイルフォーマットに対応させるための作業をするという。
これらのプラグインもオープンソースプロジェクトのなかで開発され、2007年末には公開される予定だとPaoli氏は述べる。
Novellは2006年、ODFをサポートするOpenOfficeのユーザーが、MicrosoftのOOXMLファイルを利用できるようにする予定だと述べている。
今回発表されるドキュメントフォーマットトランスレータは、電子文書の標準をめぐる議論を注目される中での登場となる。
ODFはビジネス文書の有力なフォーマットとして注目を集め、商用製品でも採用されている。一方、MicrosoftのOOXMLはEcma Internationalで標準規格として承認され、現在は国際標準化機構(ISO)による認定の獲得を目指している。
Adobe Systemsも先週、PDF(Portable Document Format)仕様書提出に向けた計画を発表した。
MicrosoftのOOXMLに批判的な人々は、ODFと重複する機能が多いため、フォーマットは1つにすべきだと主張する。また、6000ページ以上におよぶ仕様は複雑で、製品での採用が難しいという意見もある。
Microsoftで互換性および標準規格部門のゼネラルマネージャーを務めるTom Robertson氏によると、ODFを積極的に支援してきたIBMは、EcmaでのOOXMLの標準認定に唯一反対票を投じ、現在は、ISOでの標準認定を阻止しようとしているという。
「最も声高に反対の声を上げているのは、われわれの競合企業であり、ビジネス上の理由から、標準化のプロセスやその実現を阻止しようとしている。これはとても残念なことだ。この行動が、選択と革新の促進を制限する環境を作り出している」(Robertson氏)
Robertson氏は、異なる目的やマーケットに見合うドキュメント標準がたくさん確立されるようになることを期待していると述べた。
Paoli氏は仕様書のボリュームは大きいが、開発者は法的にも技術的にも自由にコンポーネントを実装することができると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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