欧州委員会が、ヨーロッパ地域におけるMicrosoft「Vista」の販売を認めることを拒否した。しかし、同製品のリリースが完全に差し止められたわけではないことに、一部の欧州議会議員は胸をなで下ろしているという。
Microsoftは米国時間10月13日、セキュリティソフトウェアメーカー各社がセキュリティ監視目的で64ビット版Vistaのカーネルにアクセスすることを許可すると発表した。また、サードパーティーのセキュリティソフトウェアがインストールされた場合、Vistaに実装されている「Windows Security Center」の一部機能をセキュリティ企業が無効化できるよう、対策を施すとも述べた。こうした決定を下したのは、反トラストに関する欧州委員会の懸念を緩和するためであり、世界のほかの地域と同時期にヨーロッパへもVistaを出荷するつもりだと、同社は改めて明言した。
これを受けた欧州委員会は、Microsoftが一連の対応策をとったからといって、Vistaが欧州の法律に抵触する可能性がなくなったわけではないとする警告を13日に出している。
「欧州委員会が一貫して主張してきたとおり、Microsoftは、EC条約に含まれる競争規定や、委員会が2004年3月に制定した同社(の「Windows XP」)に関する裁定にVistaを完全準拠させる責任を負っている。したがって、委員会はMicrosoftによるVistaのリリースに『ゴーサイン』を出していない」(欧州委員会)
それでも一部の欧州議会議員は、委員会の決定が、一見したところ否定的という程度にとどまったことを歓迎している。英国から同議会に参加しているChris Heaton-Harris氏、Peter Skinner氏、Sharon Bowles氏は、委員会の憂慮によってヨーロッパ地域におけるVistaリリースが遅れると、小売りビジネスに悪影響がおよぶおそれがあるとする共同声明を発表した。
Bowles氏の代理人は、「これまでの欧州委員会との対話から推察するに、委員会ではVistaの発売を阻止しようとしていると、われわれは理解していた。しかし(13日の)委員会決定は、禁止措置ではなかった」と述べている。
同代理人によれば、ヨーロッパに拠点を置く各中小企業も、Vistaのリリースがさらに延期されれば、事業に損害が生じるかもしれないと危惧しているという。
Heaton-Harris氏は、2004年に欧州委員会が反トラスト法違反を理由にMicrosoftへ罰金を科したことを批判し、2006年8月にシアトルにある同社施設内で最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏と会談している。「欧州委員会の姿勢はとうてい理解できない。改造タイヤを売り買いする機会を減じるからという理由で、Fordにタイヤ付き車両を販売させないのと同じことではないか」と、Heaton-Harris氏は指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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