超高速通信のための次世代インターフェース規格「InfiniBand」が機能を拡張し、「iSCSI」プロトコルを使用したストレージネットワークに対応できるようになる。
「iSER」と呼ばれる新機能は、ローエンド向けの技術であるiSCSIでハイエンド機並みの高速通信を可能にするものだ。現行のiSCSIは、従来型の1Gbpsイーサネットネットワークを使用しており、最大4Gbpsものまであるライバルの「Fibre Channel」に転送速度の面で遅れをとっている。業界団体InfiniBand Trade Association(IBTA)のマーケティング責任者であるLen Rosenthal氏によると、iSERを介してInfiniBandのパフォーマンスを利用すれば、iSCSIで10Gbpsの転送が可能となり、さらに2006年に発表したInfiniBand DDR(倍速データ転送)に対応したハードウェアを用いれば、転送速度は20Gbpsに達するという。
「Gig E」(1Gbpsイーサネット)が受ける最大の恩恵は、パフォーマンスが10倍も向上することだ。DDRモードだと、20倍となる。iSCSI標準に高帯域通信をもたらし、データ遅延は減少する」(Rosenthal氏)
金融機関やスーバーコンピュータの保有機関など、巨大なデータセンターを抱える組織にとっては、この革新的技術は役に立ちそうだ。
しかしながら、デメリットもいくつかある。iSERを使用するには、サーバー用とストレージ用にInfiniBandアダプタを購入しなければならない。つまり、現在所有しているハードウェアに組み込まれたネットワーク機器が使用できないということになり、従来のiSCSIが持っていた大きな利点が損なわれる。
さらに、対応するソフトウェアが今のところLinux版しかないということもある。Rosenthal氏によれば、Windows版とUNIX版は準備中とのことだ。iSER用ソフトウェアは、「OpenFabric」オープンソースソフトウェアの標準機能として搭載されるが、OpenFabricはInfiniBandとともに「EthenetでRDMAをサポートするiWarp」にも対応している。
調査会社The 451 GroupのアナリストGreg Quick氏は、イーサネット技術、特に10Gbpsの転送に対応した新しい製品がInfiniBandのライバルになると述べている。10Gbpsイーサネットでは、これまで弱点とされていた通信レイテンシ、つまり情報パケットを送信してから受信するまでの時間の遅延が改善されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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