IBMは米国時間8月15日、顧客が「Power」プロセッサ搭載サーバでLinuxを稼働させるために必要なソフトウェアの拡充を目的に、新興企業のTransitiveとの業務提携を発表した。
Transitiveのソフトウェア製品である「QuickTransit」は、あるプラットフォーム向けに作られたソフトウェアを、ソースコードやバイナリに手を加えることなく別のプラットフォームでも利用できるようにするものだ。サンフランシスコで開催中のLinuxWorld Conference and ExpoでIBMとTransitiveの関係者が語ったところによると、今回の提携で、Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」といったx86チップを搭載したメインストリームサーバ用のLinuxが、IBMのPowerプロセッサ搭載サーバで動作するようになるという。
IBMでLinuxおよびオープンソース部門を担当するシニアバイスプレジデントのScott Handy氏は会見で、ソフトウェアのテスト版の出荷開始は2007年の第1四半期になる予定で、それに先駆けて初期のトライアル版を2006年第4四半期に提供する、と述べた。
ソフトウェアはIBMが配布元となる。「IBM製サーバ向けQuickTransitの製品版は、IBMのPowerプロセッサ搭載サーバの一部に標準でつくことになる」と、Transitiveは声明の中で明らかにしている。
しかし、QuickTransitは逆方向の変換にも使用できる。IntelもTransitiveと協力して、PowerプロセッサのようなRISC(Reduced Instruction Set Computer:縮小命令セットコンピュータ)チップ用のソフトウェアをx86チップで動作させられるようにする製品の開発にあたっている。
IBMのPowerプロセッサを搭載したシステムは主にIBM版UNIXであるAIXで動作するが、IBMはLinuxの導入も奨励している。しかし、x86サーバ以外の領域では概してLinuxの導入は進んでいない。
QuickTransitは、ロード時にアプリケーションをトランスレートする。よく使う命令はメモリに保存しておくのでいちいちトランスレートし直す必要はないが、それでもパフォーマンスは、もともと特定のプロセッサ用に作られ、その上で動作しているソフトウェアには及ばない。
とはいえ、便利な変換ツールではある。QuickTransitは、新しいIntel CoreベースのMacで「PowerPC」用のソフトウェアを動作させられるようにするApple Computerの「Rosetta」技術の基にもなった。またSilicon Graphicsは、顧客がQuickTransitを使って、古いMIPSベースのコンピュータ用のソフトウェアをIntel製「Itanium」プロセッサで動作させられるようにしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力