オープンソースの取り組みを成功させるためには、人々はこれが「無償」であるという考えを捨て、「ネット時代における資本主義」の産物であるととらえるべきだ--米国時間6月27日にロンドンで開催されたオープンソースカンファレンスにおいて、ある人物がこう主張した。
Sun Microsystemsのチーフ・オープンソース・オフィサーSimon Phipps氏はOpen Source Business Conferenceで講演し、オープンソースの取り組みは、同氏の言うところの「共有物の拡充」といった視点をないがしろにしており、コードの共有にあまりに長い時間をかけ過ぎたと述べた。
オープンソースコミュニティは、資本主義経済や資本家の活動から得た教訓に目を向ける必要があると、Phipps氏は言う。Phipps氏は、大富豪のWarren Buffett氏が資産の大半をBill and Melinda Gates Foundationに寄付するとした先ごろの発表に言及し、「Warren Buffett氏はどんどんお金を動かし、富を築いている」と指摘した。
Phipps氏は、オープンソースが伝えようとしたのは「完全に独立したコードベースの開発と保守は最終的に自己破滅する」ということだと、自説を展開した。
また同氏によれば、将来の鍵を握るのは、協調関係と、本当に価値あるものを失わないでいられる組織だという。
「これはボランティア活動ではない。管理された私利私欲であり、(他の組織との)同時性のある私利私欲だ。私利私欲は何も悪いことはない」とPhipps氏は述べている。
またPhipps氏は、オープンソースの「法的リスク」を回避するための専門的なアドバイスを有償で提供する同カンファレンスの一部の出展者を非難した。
同氏はある弁護士事務所のパンフレットを壇上から投げながら、「オープンソースには法的な危険が多く潜んでいるとの意見には同意できない。オープンソースが危険だらけだと言うのなら、それは間違った取り組み方をしているからだ」と述べた。
しかし、歯に衣着せぬ物言いで満足そうだったPhipps氏も、1回だけ沈黙する場面があった。同カンファレンスの司会者で、ECM傘下のAlfrescoのバイスプレジデントを務めるMatt Asay氏が、「今日は、SunがJavaのオープンソース化を決定したという話が聞けるのかと期待していた」と述べたが、Phipps氏は、この件について全くコメントしなかった。
Asay氏は自身のプレゼンテーションのなかで号令をかけ、「欧州がオープンソースの分野で再び存在を主張しても良いころだ」と述べた。Asay氏は、欧州企業の81%がオープンソースを導入しているとのGartnerの調査結果を引き合いに出し、オープンソースの存在が欧州では「非常に大きい」ことは間違いないと述べた。しかし同氏は、業務利用では違う方向に進んでいる構想もあるとも警告した。
Open Source Business Conferenceはこれまで米国で行われていた。今週2日間にわたってロンドンで開催されたカンファレンスは、同種のカンファレンスとしては英国で初めての開催になる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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