オープンソースのウェブブラウザ「Firefox」と、電子メールクライアント「Thunderbird」を開発しているMozillaによれば、IT部門の責任者が企業内でオープンソース製品を展開するにあたっては、プロプライエタリ技術への依存が未だ障壁となっているという。
Mozilla Corporationの最高経営責任者(CEO)であるMitchell Baker氏はSilicon.comに対して、企業は「われわれが得意とするところではない」とためらうことなく認めつつも、同組織はIBMの開発者が作ったカスタマイズ用のキットを企業向けに提供しており、企業のIT部門のニーズに応えるために、パートナーとの連携に目を向けていると述べた。
「狙うべきは、自ら『(新たに)何かをやる気がある』と言う企業だ」(Baker氏)
オープンソースのブラウザを企業内で使用することを認めているIT部門の責任者が多く存在する一方で、そういったことを認めない責任者もおり、彼らのためらいの原因は多くの場合、イントラネット上で使用されているプロプライエタリ技術にある。
Baker氏は「企業は(Microsoftの)Internet Explorerにしか対応していないイントラネットを抱えている」と述べ、「われわれは、こういった企業のイントラネットをどうすることもできない」と付け加えた。
Baker氏によれば、Firefoxが克服すべき障壁としては他に、ウェブブラウザといった重要なツールの利用を認定する条件として多くの企業で採用されている「悲しくなるほど時間のかかるプロセス」があるという。
このような経緯から、(イントラネットなどを)プロプライエタリ技術に適合するように作らなければならないケースは多い。こうしたことが(一般的な品質の問題に加えて)、IT部門がクライアント側にオープンソースアプリケーションを採用することをためらう理由になっているとBaker氏はいう。
サーバ側に関して同氏は、「オープンソース製品が企業で採用されている例を見かけるようになった。そしてそれが公となって認識されている場合もあれば、そうでない場合もある」と述べている。
Mozillaウェブブラウザの次期バージョンである「Firefox 2.0」は2006年の第3四半期にリリースされる予定だ。Baker氏によれば、新たに盛り込まれる機能は、「情報を迅速に、容易に、よりよく利用できる」ことを目的としたものであるという。新バージョンのFirefoxでは、タブ機能や検索ボックスが改善され、RSSの利便性が向上し、フィッシング対策を含めたセキュリティ向上策が盛り込まれている。
Baker氏は、Mozillaの2005年における売り上げは「数千万ドル」相当であり、その一部をボランティアによる開発コミュニティへと還元する道を探っているところだと述べている。
「この売り上げの一部は、何らかの形でコミュニティへと還元されるはずだ」(Baker氏)
とはいえ、Mozillaは高額の現金を支給するという形ではなく、ハードウェアなどのリソースを提供するという形をとるだろう。
Baker氏は、特にMicrosoftといった競合相手と同じレベルで「Firefoxを開発する人々に十分な支払いをすることは無理だ」と述べ、「われわれはそういったことをするつもりはない」と付け加えた。
同氏の説明によれば、Mozillaは、利益の一部をコミュニティに還元する方法を6カ月かけて見つけ出すための人材を採用するプロセスを開始しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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