Microsoftが、「OpenDocument Format(ODF)」を国際標準として批准する取り組みの中で中心的な役割を果たしている委員会に加わった。
同社は米国時間3月15日に、INCITS/V1 Technical Committeeへの加盟を申請していた。同委員会は、ODF承認の賛否に関するInternational Organization for Standardization(ISO)内の意見調整を行っている。
法律関係のウェブサイトGroklawを運営しているPamela Jones氏は、Microsoftが同委員会に加入したのは、ODFの標準化を阻止し、同フォーマットと競合する自社のフォーマットの劣勢を挽回するためである可能性もあると考えている。Microsoftは2005年に、同社の「Office Open XML」ファイルフォーマットをヨーロッパの標準化団体ECMA Internationalに提出し、これをのちにISO標準とするための布石を打っていた。
Jones氏はみずからのサイトに、「Microsoftはまるでクモのように、じっと獲物を待ち受けている。一足ずつ歩を進めるODFがMicrosoftに質問攻めにされ、『これはどういう意味なのか』とコメントの細部までつつき回される様子が想像できる。そうしてODFはささいなことで動きが取れなくなり、その間に、MicrosoftのXMLフォーマットがISO標準となるか、ODFと並ぶ地位にまで上り詰めることになるのだろう」と記した。
しかしMicrosoftは、同社の社員であるJim Thatcher氏が委員会に参加したのは、同社のファイルフォーマットをISO標準とする過程に関わるためでしかないという非難に反発している。
Microsoftの標準問題担当ディレクターJason Matusow氏は、「ThatcherがOpen XMLファイルフォーマットの将来に関わりを持つには、長期的な参加が義務づけられているJTC1 SC 34(INCITS/V1と同様の委員会)で相応の立場を確保していなければならない。また、INCITS/V1に参加したからといって、ODF仕様の承認プロセスに影響を与えられるわけではない。OASISのメンバーではあるが、そのODF標準化過程に関わっていないのと同様に、JTC1にも参加するつもりはない」と、声明の中で述べている。
Microsoftは、このニュースが報じられる直前に、「Open XML Formats Developer Group」と呼ばれる、同フォーマットを軸とした新たな開発計画を進める団体の結成を発表していた。同社によれば、この団体には、IntelやApple Computer、東芝を含む39社がすでに加盟したという。
Office Open XMLファイルフォーマットは、Microsoftのオフィス生産性スイートの次期版である「Office 2007」に採用される予定だ。一方のODFは、オープンソースのオフィススイート「OpenOffice 2.0」やSunの「StarOffice 8」をはじめとする、多くの生産性アプリケーションで利用されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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