Red Hatは米国時間3月20日、Linuxディストリビューション「Fedora Core 5」を公開した。この新バージョンには、グラフィックスや仮想化関連の新しい機能のほか、Microsoftのソフトウェアフレームワークをベースに開発したデスクトップユーティリティもいくつか追加されている。
Red Hatは、Fedoraで検証した機能を後に同社の有料製品である「Red Hat Enterprise Linux」に搭載している。またFedoraは、より新しい機能を求める多くのLinuxファンの欲求を満たすために考えられたもので、そのプログラミングやテストには社外の人間が関与している。
今回リリースされたバージョン5には数多くの新しい機能が追加されており、Linuxの2大GUIである「GNOME」と「KDE」もそれぞれバージョン2.14とバージョン3.5にアップデートされている。
Fedora Core 5は、先進的なグラフィックス機能を持つマシン向けとして、ユーザーインターフェースに3Dエフェクトを追加する「Accelerated Indirect GL X」をサポートしている。しかし、あるバグによってNvidiaやATIから出されている純正の3Dグラフィックスチップ用ドライバーが利用できないことから、大半のユーザーはこれら最速のグラフィックス機能を活かすためにアップデートされたカーネルをダウンロードする必要がある。
Fedora Coreの新バージョンは、MicrosoftがWindows Vistaの投入を再び--今回は2007年1月まで--遅らせることを発表したのと前後して公開された。しかし、Linuxファンが長年自分たちのひいきにする製品に磨きをかけ、使いやすいものにしようとしてきているにもかかわらず、Windowsは依然としてデスクトップPC市場を支配している。
Fedora Core 5には、「Cairo」という別のグラフィックス関連機能も追加されている。Cairoは、Firefoxや他のアプリケーションが2Dのベクターグラフィックスを描画するのに利用可能なライブラリのことだ。
Fedora Core 5のグラフィックス関連サブシステムには、「Xorg 7.0」が追加されている。これはソフトウェアのコンポーネントを独立したモジュールに分割し、プログラマーがより迅速に改善を加えられるようにする試みだ。
Novellは、開発者向けにFedoraと競合する「OpenSUSE」を出しており、Linuxのグラフィックス機能強化に向けて「Xgl」という異なるアプローチを採っている。それに対し、Red Hatでは自社のアプローチのほうが混乱が少ないと考えている。
ただし、Red Hatは競合他社の開発したいくつかの技術を実際に採用している。それは、Microsoftの「.NET」ソフトウェアのオープンソース版にあたる「Mono」だ。Fedora Core 5には、Monoをベースに開発された3つのアプリケーション--デスクトップ検索用の「Beagle」、写真ファイル管理用の「F-Spot」、メモ用の「Tomboy」が含まれている。
そのほか、ユーティリティ関連では、GNOMEの電源管理用モジュールやスクリーンセーバー用モジュールもアップデートされている。「GStreamer」ライブラリのバージョン0.10はメディアプレイヤーやビデオ編集ソフトなどのアプリケーション向けの基礎として組み込まれている。
Fedora Core 5のサーバ関連機能では、データベースソフトのバージョンも更新され、MySQLはバージョン5.0に、またPostgreSQLはバージョン8.1にアップグレードされている。また、同OSには「Xen」の新しい管理ツールも含まれている。Xenは複数のOSを同時に動かすための「hypervisor」ソフトだ。
Fedora Core 5に採用されているLinuxカーネルはバージョン2.6.16だ。
なお、Fedora Projectのウェブサイトには、Fedora Core 6に関するさまざまなアイデアが掲載されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」