サンフランシスコ発--Sun Microsystemsは2006年後半に、最新の「Sparc」チップ搭載サーバ上で、複数のオペレーティングシステム(OS)を同時に稼働させる仮想化技術を導入する。同社はこれにより、競合であるIBMやHewlett-Packardが既にUnixマシンに組み込んでいる機能を提供できるようになる。
SunのScalable Systems GroupのエグゼクティブバイスプレジデントDavid Yenによれば、論理ドメインと呼ばれるこのテクノロジーは、「UltraSparc T1」チップ(開発コード名「Niagara」)を搭載した「T2000」と「T1000」という2機種の同社製サーバに採用される。T2000は2005年12月に出荷が開始され、T1000は2月に出荷を予定している。
同氏は、当地にあるSunのオフィスで記者やアナリストとミーティングを開き、「今年、Sun初の仮想化技術をT2000とT1000に導入し、Solaris 10が既に提供しているコンテナ技術を超えるものを提供できるようにする」と述べた。その後のインタビューでYenは、この技術にはニーズがあり、金融サービス業界で顕著であることを付け加えた。
複数のOSを実行させることで、1台のコンピュータをより効率的に稼働させることは、今日のサーバ市場において大きなトレンドとなっている。Sunは、この機能をサーバに組み込むことで、同社のこれまでの基幹製品に欠けていた重要な要素を手にすることなる。
Sunは同社サーバ部門の地位を回復しようと懸命に努力している。同社サーバの出荷台数は、前四半期で6%減少している。
現在、Sparcサーバ上で複数OSを稼働させようとした場合、ハードウェアパーティションを利用するしか方法がない。これは、ハイエンドなUnixサーバを4つのプロセッサパーティションに分割するため、あまり柔軟な手法ではない。その一方で、同社のOSであるSolaris 10には、OS内の単一インスタンスを複数のコンピュータ環境に見せかけることができるコンテナという機能があるものの、さまざまなアプリケーションの独立性を保護する機能が劣っている。
単一サーバ上で複数OSを稼働させる動きは昔からあり、もはや成熟の域に達している。複数OSの稼働は、比較的初期のx86サーバでさえ、VMwareの仮想マシンソフトウェアを使用することで実現できていたのだ。そして、現在進行中の、「Xen」と呼ばれるオープンソースソフトウェアプロジェクトでも、同様の機能が実現されることになる。
Yenによれば、未来はXenにあるという。Sunは自身の論理ドメインソフトウェアを開発しているが、やがてはXenと一本化することを期待している。
「Xenは最終的に業界全体に受け入れられることを期待されており、われわれはそれに関わっていたいと考えている。いつか、おそらく2007年後半に、Xenと一本化することになるだろう」(Yen)
Yenによると、論理ドメイン機能はT1000およびT2000のファームウェアのアップデートとして提供されるという。同氏は、アップデートによるパフォーマンス低下や、顧客ソフトウェアの修正は必要ないと述べている。
同氏は、このファームウェアにはもう1つ重要な機能があると語る。それは、Solarisの新たな土台の提供だという。Sunは、SolarisをAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」といったx86チップに移植しようとしているが、OSと使用されるチップとの間でさらに柔軟な連携が必要と考えた。Yenは、このファームウェアがそういった新たなインターフェースを提供することになると述べる。
「Solarisが行うべきことはすべて、この階層で提供されるAPIとのやり取りになる」(Yen)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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