Intelは、Intelアーキテクチャ版Mac OS X用ソフトウェア開発ツールのベータ版をリリースした。
同ツールは、2005年8月に発表されていたが、ベータ版のリリースは、先週Appleが「iMac」と「MacBook」の両Intel版コンピュータを発表した直後となった。
同ツールはFortranおよびC++の両コンパイラ、そしてマスカーネルライブラリとパフォーマンスプリミティブライブラリで構成されている。同ツールは、両新型Macで採用されているIntelのデュアルコアプロセッサ「Core Duo」専用となっている。このツールチェインはAppleのXcode IDEに組み込まれるため、Universal Binaries(UB)製品の開発にIntelの同コンパイラが利用できるようになる。UBは、PowerおよびIntelの両アーキテクチャのマシンに対応したコードをまとめたアプリケーションパッケージである。
Intelのマーケティング/ビジネスデベロップメント担当ディレクターJames ReindersがBuilder UKに語ったところでは、現在利用されているコンパイラに代わり、このコンパイラがXcodeに組み込まれると想定しているという。「Xcode環境で動作するようにGNUツールチェインの互換性を利用しているため、GNUツールと完全互換になると考えている。われわれのコンパイラは、Linuxプラットフォーム上で、gcc、gdb、そしてgcc準拠の各種バイナリなど、各種GNUツールと数年前からうまく併用されてきた」(Reinders)
マルチスレッドやマルチプロセッサアプリケーションのサポートは、Linux版Intelコンパイラで既に利用されているクロスプラットフォームAPIのOpenMP経由で提供される。Intelは、同社のLinux版ツールの64ビット版を2004年10月に開発している。同社は、同ツールの各OS版のバージョンをそろえておく考えだ。
「OS X、Windows、およびLinuxの各バージョンをほぼ同時期にリリースする見込みだ。われわれの製品開発作業は、共通のコードベースが基盤になっており、製品はサポートするOSすべて同時に投入したい。もちろん、特定のOSで必要なアップデートを個々に行うことになる場合もあるが、全般的には、これらに同等の機能を搭載して同時にリリースする」(Reinders)
新ツールを利用するにあたっては唯一、Objective Cがサポートされていない点が障害になるかもしれない。Objective Cで書かれたMac用アプリケーションは多い。Objective CはMac OS Xのネイティブ言語とみなされているが、バージョン1.5まではXcodeでもC++のサポートがほとんどされていなかった。IntelではObjective Cをサポートする計画がないことから、既に製品を持つ開発者がIntelのデュアルコアプロセッサを活用できるようアプリケーションの修正を余儀なくされることはほぼ確実となる。
Macの開発者はさらに、PowerPCのAltivecと、IntelアーキテクチャのMMX/SSEという、両アーキテクチャのベクトル演算命令セット間の差にも直面している。これら2つの命令セットはだいたい同じ演算を行うが、命令の細かい部分は異なる。Reindersによると、ハードウェアレベルでコーディングをしていない限り、移行は簡単なはずだという。
「一般には、コンパイラとライブラリからは見えなくなっているが、Altivecでコーディングしている場合は別である。その場合、SSE用に一部再コーディングが必要になる。一般には、このような場合、C++やFortranコードにフォールバック、または、Intelが提供するライブラリを使用し、コンパイラで作業することを推奨している。この方法だと、効率が非常に良く、維持も容易だということが分かっている」とReindersは述べた。
この開発ツールが正式にリリースされるのは、夏を予定している。価格は、C++コンパイラバージョンは399ドル、Fortranコンパイラバージョンは499ドルである。さらに、パフォーマンスプリミティブライブラリは199ドル、マスカーネルライブラリは399ドルである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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