Microsoftの会長Bill Gatesが米国時間15日、同社のスーパーコンピューティング業界への進出を発表する。しかし、同社初のコンピュータクラスタ向けオペレーティングシステム(OS)はまだベータテストの段階だ。
Gatesは、スーパーコンピューティングカンファレンス「SC2005」で講演する予定だ。その中で、同氏は、Microsoftのコンピュータクラスタ向けOS、「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition(CCE)」のベータ第2版がテスト段階に入ったことを発表する。同社がSC2005に参加するのは今回が初めてだ。CCEは、クラスタに最適化されたOSと、ジョブスケジューリングなどの作業用ソフトウェアで構成されている。同OSの最終版は2006年上半期にリリースされる予定。
これまでも、学術機関や一部の法人顧客が、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)製のチップを搭載したサーバのクラスタ化を行ってきた。Microsoftによると、かつてクラスタサーバ市場はニッチ市場の1つにすぎなかったが、最近はクラスタサーバを導入する企業が増加しており、状況が変化してきているという。同社によると、CCEはLinuxと同等の性能を備えており、他の企業向けコンピューティング環境との統合や管理もより簡単に行えるよう設計されているという。
MicrosoftのHPC(High Performance Computing)部門担当ディレクターKyril Faenovは、「HPCが普及し始めている」とし、さらに次のように続けた。「だからこそ、われわれは顧客のために、より使いやすく、顧客がすでに使用しているコンピューティング環境との統合が簡単に行える製品を提供したいと考えた」
Microsoftのエンジニアが2005年3月に、同社では2005年の秋までに同製品を発売したい考えだと述べていたが、結局ベータ段階にまでしか至らなかった。間もなく新しいベータ版が公開されるが、今回は、9月にロサンゼルスで開催されたProfessional Developer Conferenceの時とは異なる。当時はテスターの人数がおよそ1600人に限定されていた。
Microsoftは、CCEの新ベータ版の発表に加え、複数のハードウェアメーカーからのサポートを得られていることも発表する。また、CCE上で動作する、他のソフトメーカー製のアプリケーション19種類についても概要を発表する。
さらに同社は、10カ所の高性能コンピューティング機関への投資も発表する。それらの機関は、CCEの初期導入顧客となるだけでなく、Microsoftがクラスタソフト開発の方針を決定する際に同社に協力する。
Gatesは、より広範な研究業務において高性能コンピューティングがどのように役立つのかといったテーマや、コラボレーション、データマイニングといった分野におけるMicrosoftの取り組みについて講演する予定だ。同氏は、例えば、最近発売された同社のSQL Server 2005に保存されている情報から生命科学に関するデータを抽出し、そのデータをサードパーティのクラスタソフトで処理したうえで、最終的に社外に送られて、スーパーコンピューティングを使った大規模なタスクに利用されるという一連の流れのデモを行う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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