Amazon.comは、18世紀のハンガリー人貴族の「発明」をまねて、繰り返し発生する大量の仕事に取り組む方法として人間の知恵を活用する新サービスを発表した。
Amazon Mechanical Turkと名付けられたこのサービスは、ソフトウェアに実行させる処理のうち、人間の方が得意と思われる単純作業を開発者がウェブ上に掲示する電子市場だ。タスクを仕上げた個人には少額の報酬が支払われる。
Mechanical Turkという名称は、ハンガリー生まれの発明家Wolfgang von Kempelenが1769年に作ったチェス対戦ロボットにちなんでいる。ほぼ無敵を誇ったこの「マシン」の中には、実は本物のチェス名人が隠れていた。同サービスも人間の知力を活用してコンピュータでは対応できない大量の小さな問題を解決する、とされている。
「AmazonのMechanical Turkは、コンピュータよりも人間の方が得意なものがあることを前提としている」と、Amazonの製品管理と開発者向け広報を担当するバイスプレジデントのAdam Selipskyは言う。「Mechanical Turkにより、開発者と企業は人間の知能をソフトウェアアプリケーションへプログラムを介して組み込めるようになる」(Selipsky)
同社Webサービスソフトウェア担当ディレクターのPeter Cohenは、一例として、同社のA9サーチエンジンとその電話帳機能を挙げた。同サービスは、例えば、特定の住所の近くにあるピザレストランの写真をユーザーに提供する。しかし、多数の選択肢の中から一番良い画像を選ぶようコンピュータに頼むのは実用的ではないとCohenは言う。一方、人間はその決断を一瞬でこなす。
また、Mechanical Turkの市場に掲示されるタスクには数秒か数分で仕上げられるものが多いため、大抵の場合、これらのタスクの対価は3〜5セント程度だ。しかし、A9の写真選びを手伝っている人も、そのうち、時間をかけるだけの価値がある十分な収入を得ることができるようになるとCohenは言う。
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