米国の電子投票システム、2006年の中間選挙には安全性確保が間に合わず

Anne Broache (CNET News.com)2005年10月24日 20時15分

 電子投票システムの十分な安全性の確保は、2006年の選挙にも間に合わない可能性が高いと、米政府の監査役が米国時間21日に警告した。

 米政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は107ページに及ぶ報告書の中で、既存の投票システムは多くの問題を抱えていると述べている。システムが抱える脆弱性のリストには、容易に推測可能な管理者パスワードや投票者が自分の投票記録を確認できないというシステムの設計上の欠陥から、ソフトウェアの誤インストール、選挙日の設定の誤りに至るまで、あらゆる問題が列挙されている。

 GAOは報告書の中で、米選挙支援委員会(Election Assistance Commission:EAC)が、それらの問題にいつまでに対処するのかという明確な予定の提示を怠ったと指摘している。EACは、米国の各州/地域による電子投票システム導入を支援する目的で2002年に設立された。またGAOは、2006年秋までに電子投票システムに何らかの変更が加えられることを期待するのは非現実的だと述べている。

 また同報告書によると、10以上の非政府組織がすでに独自の(安全性)基準を策定し始めているにも関わらず、連邦政府機関は依然として、電子投票システムとシステムの認定手続きに関する独自のガイドラインを作成している段階だという。

 政府機関は2007年初頭までに、投票システムの審査/検討を行うために設置された複数の研究所が、それらを行うのにふさわしいか否かを判断する予定だが、まだその作業に着手していない。また政府機関は、選挙管理委員同士が投票システムに関する様々な問題を共有できる適切な「クリアリングハウス(情報センター)」もまだ設立していない。

 さらに、投票システム用ソフトウェアに関する情報を閲覧/検索できる連邦参考図書館のアップデートも2004年の選挙以降行われていない。同図書館は、各州/地域の選挙管理委員に必要な情報を提供し、適切な投票システム用ソフトの選択を支援する意図で設立された。

 「図書館に認可されたソフトが継続的に供給されず、また各州/地方政府が効果的に実行可能な方法が存在しなければ、各州/地方政府は、すでにテスト済みのいつでも使用可能な投票システムが、連邦政府公認のシステムと同じか否かを確認する上で困難に直面する可能性がある」(同報告書)

 米下院政府改革委員会の委員らは、GAOの調査結果を見て失望したと語り、さらに政治家の介入の必要性を示唆した。

 John Conyers下院議員(ミシガン州選出、民主党)は、「21世紀の米国において、欠陥のある投票機/システムによって市民の投票権が奪われるなど、断じて許容し難い」と述べ、さらに次のように続けた。「GAOは改善に向けた控えめな提案を行っているが、この問題に対処し、投票者が確認可能な紙の投票記録を発行し、全ての米国民の投票権を保護するなど、必要性の高い改革を実施する責任は議会にある。」

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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