信じ難いことかもしれないが、ノートPCの使用を中止したハイテク企業がある。
その企業の最高経営責任者(CEO)は、ノートPCの購入やサポートにかかる費用に嫌気がさし、ついにはノートPCの使用を中止した。AccentureのAl Delattreによると、その代わりにこの会社では、700人強いる社員にデスクトップPCと高機能なハンドヘルド端末を与えることにしたという。Accentureで通信/ハイテク業務担当パートナーを務めるDelattreは、このハイテク企業の端末の移行を支援した。
Delattreは、「その企業は、決定に満足していた」と述べる。「会社の経営幹部にノートPCを与えても、使われるアプリケーションは結局、電子メール、ブラウザ、IMの3つだけだ」(Delattre)
現在も10数社の企業で同様の移行を進行中、または検討中であるとDelattreは付け加える。
ノートPCの販売は現在、PC市場の成長を牽引している。しかし最近になって、90年代から頻繁に予言されていた事柄が現実のものになっていることを示す証拠が見られるようになってきた。コンピュータアプリケーションやインターネット接続、通話機能を装備するスマートフォンやBlackBerryのようなハンドヘルド端末が、少なくともビジネス界ではノートPCに取って代わり始めている。
高機能なハンドヘルド端末の出荷台数は、ノートPC(年間約6000万台)や携帯電話(全世界で7億台以上)と比較するとまだ少ない。しかし、この市場が速いペースで成長していることは確かだ。市場調査会社Canalysによると、スマートフォンと分類される端末の第2四半期における出荷数は1220万台で、前年同期の590万台から比べて2倍になっているという。なお市場シェアの上位3社は、上位から順にNokia、Palm、Research In Motionであった。
このような傾向が現れた背景には、ハンドヘルド端末に好都合な複数の要因が組み合わさったという経緯がある。まず、ハンドヘルド端末そのものも、データネットワークも、数年前に比べ、技術的に大きく進歩している。データベースやCRMソフトウェアのような企業アプリケーションにも、ハンドヘルド端末からアクセスできるようになった。
「携帯電話の機能で十分なので、ノートPCを持ち運ぶことはない」とデザイン会社Ideoの共同創業者でありスタンフォード大学デザイン学部の教授でもあるDavid Kelleyは述べる。
また、コスト的な要因も、ハンドヘルド端末市場の成長に大きく影響している。企業向けノートPCの価格は、一般に1000〜1500ドルである。この価格は、デスクトップPC(700ドル)やハンドヘルド端末(300〜500ドル)に比べて割高だ。特に、通信事業者がハンドヘルド端末に対して割引価格を適用した場合はなおさらだ。さらに「ノートPCは壊れやすい」とEndpoint Technologies AssociatesのプレジデントRoger Kayは述べる。Kayによると、ウォール街のトレーダー達は、ノートPCからの移行を既に開始しているという。「端末をどう使いたいのかを考えると、大変分かりやすい。パワーユーザーと呼ばれる特定のユーザーが求めるのは、最高のPC、つまり、デスクトップPCだ。彼らがその次にほしがるのは、モバイル性だ」(Kay)
損傷を受けやすいノートPCは、買い替えサイクルが、デスクトップの3〜4年に比べ、2年と短い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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