Advanced Micro Devices(AMD)は、デュアルコアプロセッサの発表でIntelに何日か遅れをとったかもしれない。だが、重要な市場への投入に関しては自社の方が先行していると、AMDは主張する。
AMDはまもなく、同社初のデュアルコアプロセッサとなるOpteronチップを3種類リリースする。さらに、その後2カ月間でサーバ用チップ3種類とデスクトップ用チップ1種類を発売する。
デスクトップPCの購入者がいずれ、デュアルコアチップの処理能力を使い切ることは間違いない。その一方で、サーバ購入客は今すぐにでも、その恩恵にあずかることができるはずだ。いくつかのアプリケーションやオペレーティングシステム(OS)は既にデュアルコアチップへの対応を済ませており、Hewlett-Packard(HP)やIBMなどの各社はデュアルコアOpteronを採用したサーバを販売する予定だ。
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米国時間18日に登場したIntelのデュアルコアプロセッサはデスクトップPC用に設計されたもので、サーバ向けXeonチップのデュアルコア版は2006年前半まで登場しない。
AMDがちょうど2年前にOpteronを発表するまで、サーバ市場における同社のシェアは皆無に等しかった。しかしAMDによると、現在では世界の大手企業100社のうち、55%がOpteronサーバを導入しているという。なお、2004年末時点でのOpteronサーバの導入率は40%だった。
デュアルコアOpteronの全体的な性能は、同じ速度で動作するシングルコアバージョンのそれを40〜70%上回ると、AMDのBen Williams(商用ビジネス担当バイスプレジデント)は説明する。
サーバ用デュアルコアチップは、最も安いものでも、シングルコア版のハイエンドモデルと同程度の価格設定で売り出される。たとえば、Opteron 265は1000個出荷時の価格が851ドル。これはOpteron 200シリーズのなかでも最も高価な252モデルの価格とほとんど変わらない。
また、サーバの購入客にはかなり保守的な傾向があるものの、シングルコアチップからデュアルコアチップへの移行は極めて急速に進むと思われる。これはデュアルコアチップが現行のOpteronとかなり似通っているからだと、Williamsは言う。デュアルコアOpteronはシングルコア版と使用するパッケージも変わらないうえ、対応するマザーボードも同じで、消費電力まで一緒だ。
「プロセッサコアが2つある点を除けば、デュアルコアチップは(シングルコアモデルと)そっくりに見える」とWilliams。「われわれはプロセッサコアとBIOSだけに変更を加えた。このことから、シングルコアの時ほど厳しいシステムテストを行う必要がない。マルチコアへの移行は一般に考えられているよりもはるかに速いスピードで進むだろう」(Williams)
それでも、「デュアルコアプロセッサが市場にどんな影響を与えるかは、来年にならないと分からない」とMercury ResearchのアナリストDean McCarronは述べている。
リソース共有
AMDが設計したデュアルコアプロセッサは、集合住宅のような構想をしており、2つの独立した計算処理ユニットが一部のリソースを共有する。2つのプロセッサコアは同一のシリコン片上に配置されている。このコアはそれぞれが専用のキャッシュを持ち、データへ高速にアクセスできる(この点がIBMの製造するデュアルコア版Power 4チップと異なる)。ただし、メモリコントローラやHyperTransport接続については、2つのコアが同じものを使う仕組みになっている。
しかし、Williamsによると、プロセッサコアが追加されたことにより、データ遅延が生じるようなことはないという。HyperTransportは最近になって、800MHzから1GHzへとさらに高速化されている。「800MHzでさえバスが一杯になることはなかった」
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