前回ファイルを保存した場所がどこか分かるだろうか?
MicrosoftとApple Computerは、それぞれこの問いかけに対する答えが「ノー」であると考えている。そのため、両社の最新OSには、不思議なほどよく似通った検索ツールが搭載されている。
まだ開発途中のWindowsの次期バージョン「Longhorn」と、そしてまもなくリリースされるMac OS Xの新バージョン「Tiger」では、ユーザーはファイルの保存場所を覚えておく必要がなくなる。どちらのOSにも検索ウインドウが用意され、ファイルの作成者、ファイル名、文書内の語句など、覚えていることをそこに入力するだけでよい。そして、ユーザーが1文字入力すると結果が瞬時に表示され始め、入力した文字が増えるにつれて検索結果が絞り込まれていく。
Jupiter ResearchアナリストのMichael Gartenbergは、「情報量が多いと、20年前からある昔ながらのデスクトップメタファーでは対応しきれない。両社がこの点を理解しているのは明らかだ」と語っている。
この検索機能のほかにも、LonghornとTigerにはいくつかの類似点が存在する。このことから、両社の見解が一致しているのはこの検索機能だけではないことがわかる。
Microsoftは先ごろ報道陣にLonghornを先行公開したが、この際に同社が新OSのデスクトップにコンポジットグラフィックスを導入することが明らかになった。これは、AppleがMac OS Xのデビュー以来搭載している機能だ。その結果、Longhornのウインドウは透過表示が可能となり、下に表示される他のウインドウやデスクトップの中身が透けて見えるようになる。
「ビデオを重ねて表示させたり、半透明にすることも可能だ」とWindows部門の責任者であるJim Allchinは述べている。
新技術の応用例の1つは、ウインドウが最大化もしくは最小化される時の動きで、ちょうどMac OS XのウインドウがDockに格納されるときの「ジニーエフェクト」と同じような動き方をする。
さらに、MicrosoftはLonghornでアイコンを見直すことを計画している。Longhornのアイコンは、ファイルの種類を示す決まった絵柄ではなく、文書の先頭のページを縮小したイメージになる。現在のMac OSは PDFなど一部のファイルについてはプレビューペインでこうした機能を実現している。しかし、現行のMac OS Xの場合は、Microsoftが提案するものほど徹底した形でこの機能が実装されているわけではない。
優れたOSを求めて
ウェブ検索がインターネット上にある情報を探しやすくしたのと同じようなやり方で、コンピュータのハードディスク内部にある情報を検索する効果的な機能を求める声が上がっていたが、AppleとMicrosoftはともにこうしたシステムを求める声に応えようとしている。これまでデスクトップ検索に対するニーズに応えていたのは、Google、Yahoo、MicrosoftのMSNなどが用意するWindows用プログラムだった。
両社とも、以前から検索を最優先事項としてきたが、それぞれのアプローチには類似点が多い。LonghornとTigerでは、いずれもウインドウの右上に虫眼鏡のアイコンが付いた検索ボックスが配置されている。また、Tigerでは検索結果を「スマートフォルダ」に保存することができるが、Longhornでも「仮想フォルダ」(仮称)という同様の機能が実現されている。
Allchinによると、MicrosoftはLonghornに、AppleがTigerで実現したものよりもさらに先を行く機能を搭載するという。
「AppleはTigerのさまざまな場所に検索機能を付けており、その点でTigerは良くできているが、しかし(Longhornには)もっと多くの機能がある。たとえば、データをさまざまな切り口から検索でき、Tigerよりも鮮やかに視覚化できるようになる」(Allchin)
さらに、両社は検索機能を出発点にしたい考えで、開発者がそれに機能を追加できるようにするという。TigerとLonghornでは、開発者はさまざまなタイプのデータを検索対象にすることができるようになる。また、AppleのMac OS Xマーケティング担当シニアディレクターKen Bereskinによると、AppleはSpotlightのコードを開発者に公開し、各社がこの検索機能をアプリケーションに直接追加できるようにしているという。
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