Sun Microsystemsは米国時間16日、同社のライセンス条件を改め、Javaプログラムのソースコードをもっと簡単に利用できるようにすると発表した。しかし、Javaのオープンソースライセンス策定については今回見送りとなった。この件については、前から要望が出されていたが同社はこれに難色を示していた。
Sunは来月にかけて、Java 2 Standard Edition(J2SE)用に2つのライセンスを導入する。これらのライセンスは、2006年前半に投入予定の次期J2SE「Mustang」に適用されると見られている。J2SEは、クライアントPC上でJavaプログラムのビルドと実行を行うためのソフトウェア。
Sunは、J2SEの開発に対する外部者の関与を拡大するための取り組みとして、「Project Peabody」というプロジェクトを進めているが、新しいライセンスはこの取り組みの一部となっている。Sunは、J2SEの開発やあらゆるバージョンのJavaソフトウェアのライセンスをコントロールしている。
今回のライセンス条件変更は、Javaソフトウェアの開発会社や企業顧客がソースコードの閲覧やバグフィックスなどの変更を行う際の、プロセスの簡素化を意図したものだと、SunのGraham Hamilton(バイスプレジデント兼フェロー)は説明した。
Javaに関するSunのライセンスポリシーは大きな関心を集めている。Javaのオープンソース化を求める人々は、Javaの普及を加速させるには、ライセンスと開発プロセスの変更が必要だと主張としている。Javaは現在、Microsoftの.Netや、PHPのようなオープンソースのウェブ開発用スクリプト作成ツールとの競争に直面している。
SunのJames Gosling (開発者向け製品部門CTO)は、今回同社がオープンソースライセンスを選ばなかった理由として、Javaが「分派」すること--つまり、互換性のないJavaソフトウェアが作られることに対する商業利用顧客からの懸念を挙げている。
「(法人顧客は)概ね、未整備であか抜けないオープンソースの世界に無関心であるか、あるいは敵意を抱いている」(Gosling)
若干の例外はあるものの、Java製品に課せられる厳しい互換性テストと同等の試験が、オープンソース製品には実施されていないとGoslingは語る。
「われわれは、できる限りオープンソースに近いライセンス条件を設けると同時に、もうひとつの世界からの相互運用性と互換性に関する期待に応えるために、非常に微妙なバランスを保つよう努力している」(Gosling)
Burton GroupアナリストのAnne Thomas Manesは、Sunの今回の決定を高く評価している。元Sun社員のManesは、Javaのオープンソース化を長年主張してきているが、同氏によるとSunはJavaの商標をコントロールすることで、互換性のないJavaが生まれることを防げるという。
「ライセンス条件の変更は重要だが、それでもいまだにオープンソースという概念のまわりで大騒ぎしているに過ぎない。こうした議論にはすべて、数多くのFUD (恐怖、不確実性、疑い)が含まれている」(Manes)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス