Novellは米国時間10日、4月半ばにリリース予定のSuSE Linuxの新バージョンに、オープンソースソフトの「Xen」を同梱すると発表した。これにより、SuSE Linuxでは複数のオペレーティングシステム(OS)を同時に動かすことが可能になる。
新たにリリースされる「SuSE Linux Professional 9.3」では、Xenを利用して複数のOSを同時に動かせるようになる。Xenは、Microsoftの「Virtual Server」やEMCの「VMware」などと競合するもので、IT企業大手各社が同ソフトウェアのサポートを表明している。NovellのGreg Mancusi-Ungaro(SuSE Linuxマーケティング担当ディレクター)によると、Xenはさまざまな用途に役立てられるが、特にプログラマに新たなメリットを提供するものだという。
Xenはいわゆる仮想マシン環境を構築するソフトウェアだが、こうした環境でOSを動かせば、メインコンピュータを損傷するリスクを回避しながら、新しいソフトウェアを手軽に検証できるようになる。そのため、たとえば検証中のソフトウェアがクラッシュした場合にも、重要なシステムファイルが失われる心配がない。
ただし、Xenはまだ開発の初期段階にあるため、NovellではSuSE Linuxの新バージョンにXenを含めるはするものの、はじめからインストールされるようにはなっていないとMancusi-Ungaroは述べた。
Novellはドイツで開催中のCeBitで、Linuxの新版を発表した。Mancusi-Ungaroによると、SuSE Linuxの売り上げが最も高い欧州における同製品の価格は74ユーロ(99ドル)となるが、米国での価格は正式な販売が始まる直前まで未定だという。
SuSE Linux Professionalは、ワープロやプログラミング、デジタルビデオの再生といったデスクトップコンピュータのタスクを処理するのに適している。またNovellは、古いコンピュータを蘇らせたいと望むWindowsユーザーがこの製品に興味を示すと期待している。
Novellでは、ユーザーが同ソフトウェアをハードディスクにインストールしなくても体験できるように、DVDドライブで再生する「Live DVD」版を準備している。また、この製品をリリースしてから約8週間後には、無料でダウンロードして利用できるバージョンを提供すると、Mancusi-Ungaroは述べた。
SuSE Linux Professional 9.3には、VoIP(Voice over IP)を実現する「Linphone」ソフトウェアや、「Firefox」ウェブブラウザ、「F-Spot」写真整理ソフトウェア、グラフィカルインターフェースソフトウェアの最新版「Gnome 2.10」と「KDE 3.4」なども搭載される。
Xenは「 hypervisor 」ソフトウェアで、コンピュータのハードウェア上で直接動作し、OSによるメモリや入出力用サブシステムなどのリソースへのアクセスを管理する。いまのところ、Xenが動作するのはx86マシンだけで、しかもLinuxには修正を加える必要があるが、このソフトを他のOSやプロセッサにも移植する作業が進んでいる。
Linuxベンダー最大手のRed Hatでも、技術マニアやプログラマ向けのFedora版LinuxにXenのサポートを追加したばかりだ。さらに、Intelが2005に 、またAdvanced Micro Devicesでも2006年に各々のプロセッサで仮想化技術をサポートする予定になっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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