オープンソース/フリーソフトウェア界の著名人が結集し、主要なWebサービス標準化団体OASISの特許ポリシー改正に異議を唱え、同グループが策定した仕様のボイコットを呼びかけた。
Mitchell Kapor、Lawrence Lessig、Tim O'Reilly、Bruce Perens、Eric Raymond、Lawrence Rosen、Doc Searls、Richard Stallmanを含むオープンソース/フリーソフトウェア関連の著名な関係者は米国時間22日、コミュニティに向けて連名の電子メールを送り、OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)の提案する一部の仕様を実装しないように働きかけた。OASISは今月、オープンソースのソフトウェア開発をめぐる選択肢が広がると主張し、特許に関するポリシーの改正を行っていた。
「われわれとともに、OASISの特許ポリシーに反対していただきたい。オープンでないOASISの標準は実装しないで欲しい。OASISにポリシーの改定を要求して欲しい。OASISのメンバーであれば、オープンソース/フリーソフトウェアに実装できないような標準を認める作業グループには参加しないで欲しい」と、22日午前に送信されたこの電子メールには書かれている。
ある関係者はインタビューのなかで、このキャンペーンは個々の仕様ではなく組織全体をターゲットにしたものだと説明した。
Rosenlaw & Einschlag所属の弁護士で「Open Source Licensing: Software Freedom and Intellectual Property Law」の著者でもあるRosenは、「OASISのような組織には、業界標準を使いたいと考えるどの団体にも、あとからだれかが現れてライセンス料を要求するような可能性があるかどうかを事前にわかるようなポリシーを策定してほしい」と語った。
OASISは自らのポリシー改正を擁護し、この電子メールキャンペーンに反撃した。
「OASISのこのポリシーは、成果物をロイヤリティフリーに指定することに関してはW3Cのポリシーと同じ効力がある。われわれのポリシーには、標準は特許を持つ成果物を組み込むことができるとあるが、そのことを明記する必要があるとも記されている。すると、ほぼすべての場合に、その成果物にはロイヤリティフリーのライセンスが適用されることになる」とOASISのCEO、Patrick Gannonはインタビューのなかで語った。
OASISは改正したポリシーのなかで、3つのモデル--「RAND(reasonable and nondiscriminatory licensing:合理的かつ被差別的ライセンス」、「RF on RAND Terms(RANDと同条件でロイヤリティフリー)、「RF on Limited Terms(限定的に条件にロイヤリティフリー)」を示している。
Gannonは、この電子メールに署名をしている人々は、OASISのポリシーに目を通していないと主張した。
「われわれのポリシーを正確に評価しているだろうか。全くそのようなことはない」とGannon。「彼らはこのポリシーを読んだのだろうか、それとも単純にだれかの主張に反応しただけだろうか。この中のだれかが呼びかけてくれていたら、われわれも喜んで話し合いに応じていただろう。報道機関を通すというこのやり方は、コミュニティ間での対話を始めるきっかけとしては最良のものとはいえない」(Gannon)
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