カリフォルニア州パロアルト発--ロシア教育科学相Andrey Fursenkoは多くの難題を抱えている。
先週、スタンフォード大学でU.S.-Russia Technology Symposiumが開催された。ロシアの技術戦略を担当するFursenkoは、同シンポジウム開催期間中に行われたインタビューおよび自身の講演の中で、ロシアの野心的な計画に言及した。
ロシアのVladimir Putin大統領は1月、中国、アイルランド、米国にあるような、税の優遇措置が受けられるテクノロジーパークを建設し、国内外のIT企業を誘致する計画をFursenkoが策定することを承認した。
科学者でもあるFursenkoは、ロシア科学アカデミーおよび同国の大学システムの改革にも着手した。その改革の一環として、学位制度の改革も行われる。これは、同国の資格を西洋の学士号、修士号、博士号により近付けるためのもので、これにより、同国の学位取得者の海外進出が大幅に容易になる。
同氏は「これは、当面取り組むべき最も困難な改革の1つだ。ロシアの(技術面での)国際的地位は低下しつつある。われわれは、教育の質をこれ以上低下させてはならないことをしっかりと認識する必要がある」と述べ、さらに「ロシアの理工学教育は(西側諸国のそれに比べ)優れた点もあるが、ビジネスに関しては米国の教育の方が優れている」と語った。
賃金コストの安いインドと中国が先進技術の中心地としての地位を確立する上で、ロシアのこれらの改革が一助となれば理想的だ。ロシアで技術を輸出する企業としては、赤道上のプラットフォームから衛星を打ち上げているSea Launchという企業や、ウイルス対策ソフトメーカーなどが挙げられる。ロシア版「Google」とも言うべきポータルサイトYandexも急成長しており、あるハイテク企業幹部によると、同社は他企業の買収先候補として浮上しているという。
またロシアは依然として、世界屈指のIT製品の消費大国であり、ここ数年、携帯電話やPC、ネットワーク機器などの消費量で他の欧州諸国を凌いでいる。Microsoftがロシアで廉価版Windowsの販売に踏み切った理由の1つとして、ロシア国内での市場の成長が挙げられる。
しかし、レナ川沿岸地域に上海を作るのは容易なことではない。海外投資家は、ロシア進出について慎重な姿勢を崩していない。中国で事業を立ち上げる方がはるかに容易であることを考えればなおさらである。国際的な投資会社であるSiguler, Guff & CoのマネジングディレクターDrew Guffによると、米国からロシアへのベンチャー投資額は、中国やインドへの投資額と比べると見劣りするという。また同氏は、ロシアへの「海外からの」投資の大半は、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)が海外に作った投資ファンドからの資金だと付け加えた。
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