大手ソフトウェア企業のつくる業界団体が、インターネット上で著作権侵害行為を行った容疑者を簡単に提訴できるようにするために、著作権法を改正するよう米議会に求めている。
Business Software Alliance(BSA)という名で知られるこの業界団体には、Microsoft、Autodesk、Borland、Intuit、Sybase、Symantecといった大手ソフト企業が名を連ねている。BSAは米国時間6日に発表した白書のなかで提案事項の概要を示しているが、これは実質的に同グループが2005年に成立を目指す法案ともいえるものだ。この白書の中で、メンバー企業各社は、将来ソフトウェアが今日のMP3音楽ファイルと同様にPtoPネットワーク上で頻繁かつ容易に交換されるようになり、自社の収益が減少するのではないかとの懸念を抱いていると述べている。
現行法の中で、特にBSAが槍玉にあげているのがデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act:DMCA)だ。同法には、著作権保有者が侵害者の正体を暴けるように作られた強力な召還手続きが定められている。BSAの提案書によると、DMCAは、施行された1998年当時は実行可能な妥協案と考えられたが、その後の一連の判決が「効果的な施行への障害」を作り出したという。
BSAの筆頭顧問弁護士、Emery Simonは同グループの提案について、それ以上の詳しい発表を控えたが、DMCAを改正しようとすれば、BSAのメンバー企業はインターネットサービスプロバイダ(ISP)と対立関係に陥る可能性がある。ISP各社はこれまで、オンラインで警察の役割を果たしたり、ユーザーの行動について法的責任を問われることを嫌っていた。Verizon CommunicationsやCharter Communicationsは米レコード協会(RIAA)に対し、DMCAの適用範囲を制限させるために率先して法廷闘争を行い、その過程で実質的に顧客のプライバシーを守ってきた。
Simonは「我々は注目されるべき問題を特定しようとしている」と述べ、さらに「人々がDMCAをより効果的に施行できるようにする方法を見出す必要がある」と付け加えた。
さらにSimonは、「著作権の改正は予測可能である・・・(しかし)我々はDMCAの再検討を提案しているわけではない。現在我々は、解決を要する問題を特定している最中だ」と語った。
それでも、米電子フロンティア財団(EFF)の上級顧問弁護士を務めるFred von Lohmannは次のように語っている。「(BSAの提案書は)インターネットの匿名性を軽視しているように思われる。同提案書はIPアドレスが個人を特定するための正確な情報であることを前提としている。仮に匿名性がインターネット上においても現実世界と同様に認められていると考えるのであれば、その前提が果たして良いものかどうか疑問を投げかけるべきだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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