eBayが先週、Microsoftの認証技術「Passport」と「.NET Services」のサポート中止を発表した。これによりMicrosoftは、「Passport」をサポートしてくれる重要なパートナーを失ったことになる。
あるeBay関係者が米国時間12月30日にCNET News.comに語ったところによると、MicrosoftがPassportに「アーキテクチャ上の変更」を施したため、eBayは同サービスのサポート中止を決定したという。
これに対しMicrosoftは声明を通して、eBayによるサポート中止とMicrosoftによるサービス変更は、どちらも元から予定されていたものであり、成長の一環として行われただけだと述べている。
「ここ数年にわたりパートナーや顧客と協力するなかで、Microsoftは多くのことを学んできた。われわれは今後、Passportサービスの取り組みを通してパートナーと親密な関係を築くだけでなく、同サービスをMSNなどの自社オンラインサービスにおけるシングルサインオン・ソリューションとしても機能させていく予定だ」と同社は述べる。
Microsoftはこれまで、Passportサービスに対する取り組みを徐々に縮小してきた。同サービスは、クレジットカード番号のように、オンラインショッピングの際に利用する個人情報を集中管理する役割を担う。また同サービスを利用すると、ユーザーは一度の認証で、自分の持つすべてのオンラインアカウントにログオンできる。
eBayによる今回の決断は、フェデレーテッド・アイデンティティ(federated identity)の標準規格を支持する企業が増える状況のなかで下された。Microsoftのような外部企業に情報の管理を委ねなくても運用できる仕組みを確立したいというのが各社の考えだ。
現在最も支持されているフェデレーテッド・アイデンティティの規格としては、Liberty Alliance標準が挙げられる。Liberty Allianceは、Sun Microsystemsなどの技術系企業によって2001年に結成された業界団体で、現在150社以上が参加している。同団体には、FidelityやAmerican Expressといった企業も参加しているが、eBayは参加していない。
Passportのサポートを中止するのは、eBayが初めてではない。就職情報サイトのMonster.comは、昨年10月22日に同サービスのサポートを中止している。Microsoftは、同サービスのパートナー企業リストを自社サイトから削除しているため、パートナー企業をめぐる実態を正確に把握するのは難しい。
2003年にはPassportサービスに存在する複数の欠陥が明らかにされ、企業が単一のプロバイダに依存しながらユーザー認証を行うことのリスクが浮き彫りになった。これらの欠陥は、同サービスのセキュリティに疑問を投げかけただけでなく、Microsoftを法的脅威にさらすことにもなった。
12月30日現在、eBayは、Passportのサポート中止に関してコメントを差し控えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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