Sun Microsystemsは、同社のSolaris OSに適用されると思われる新しいソフトウェアライセンスについて、オープンソースのステータスを正式に求める動きをひそかに開始した。しかし、このライセンスがSolarisとLinuxとの相互交流を妨げる可能性もある。
米国時間1日夜にCNET News.comが入手した情報によると、Sunは自社のCommon Development and Distribution License(CDDL)の詳細をOpen Source Initiative(OSI)に提出したという。同非営利団体のOSIでは、各種ライセンスの審査を行い、Open Source Definitionの要件に合致したものに正式なオープンソースのステータスを与えている。
CDDLでは、同ライセンスが適応されるあらゆる開発プロジェクトでの、ソースコードの閲覧/変更/配布が認められている。ただし、一部のオープンソースライセンスとは異なり、修正したものをオープンソースソフトとして共有することが求められる。
Solarisのオープンソース化にあたって、SunがCDDLを適用すると決まったわけではないが、もしそうなればSolarisと最大のライバルであるLinuxとの直接的なソースコードの共有が行えなくなる可能性が高い。オープンソースの最大の強みともいえるこうした共有が実現できれば、SolarisはLinuxの持つ幅広いハードウェアサポートなどのメリットを享受できる一方、Linux側でもSolarisからマルチプロセッサ対応などのメリットを享受できることになる。
CDDLの説明のためにSunが作成した文書のなかには、General Public License(GPL)が適用されるLinuxなどのソフトウェアと、CDDLが適用されるソフトとを混在させることの難しさについて触れた部分がある。
「GPLにはない要件があるため、CDDLはGPLと共存できないと思われる。したがって、CDDLでリリースされるファイルをGPLでリリースされるファイルと組み合わせ、規模の大きなプログラムを開発することはできそうにない」と、SunのCDDLチームに所属するClaire Giordanoは述べている。
Open Source Initiative会長のEric Raymondは、CDDLライセンスが同グループの定める基準を満たすかどうかについてはコメントを控えた。OSIが同ライセンスを承認した場合、すでに数十種類が存在するオープンソースライセンスに、また新たなものが1つ加わることになる。
OSIの顧問弁護士を務めるLarry Rosenによると、このようなオープンソースライセンスの急増は問題だという。知的財産の分野を専門とする同氏には、「Open Source Licensing: Software Freedom and Intellectual Property Law」という著書がある。
「最終的には、組み合わせのきかない小間切れのソフトウェアばかりになってしまう。各社がそれぞれ独自のライセンスを用意してしまうと、そもそもソフトウェアの共有自体が成立しなくなる」とRosenはインタビューのなかで語った。
Sunは、Solaris 10にCDDLを適用するかどうかについてコメントを控えた。同社広報担当のRuss Castronovoは、「われわれは、このライセンスと特定の製品とを関連づけて考えているわけではない」と述べた。
しかしSunの幹部らは以前、同社がCDDLに関してOSIの賛同を得ようとしていると述べており、しかもその時間は限られている。SunはSolarisを2004年末までにオープンソース化したい考えだったが、今月に入ってスケジュールを1月17日まで延長した。
Sunの提出した文書によると、同社はまず既存のオープンソースライセンスをあたってみたものの、どれも自社のニーズにあわないとわかって、仕方なしに独自のものをつくることにしたという。だが、Sunは決して全くゼロからライセンスを書き起こしたというわけではない。CDDLはMozilla Public License(MPL) 1.1をベースにしている。
Sunでは、CDDLライセンスのほうが既存のオープンソースライセンスよりも優れたものになっていると考えている。「われわれは、よりシンプルで、コードの提供者には負担が少なく、言葉使いや用語が明快かつ一貫しており、しかもできるかぎり一般的で使い回しがきくようなライセンスをつくりたいと考えた」とSunは同ライセンスの説明書きのなかに記している。
しかし、Mozilla Public Licenseを起草した弁護士のMitchell Bakerは、CDDLに対して冷淡な反応を示した。
同氏は、2日にOpen Source Initiative関連のメーリングリストに投稿したメッセージのなかで、SunはこれまでMPLに代えて自社のライセンスを普及させようとしてきたと指摘。「このライセンスに目を通して思うのは、いくつかの点についてはこちらのほうがシンプルになっているものの、他に問題となりそうな箇所も見られるため、特に急いで採用する必要はない、ということだ」(Baker)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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