フォトレポート:富士通のハイエンドサーバはこうして造られる

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年12月02日 18時26分

 富士通のハイエンドサーバおよびストレージ製品は、石川県の富士通ITプロダクツにて製造され、全世界に出荷されている。同社は、1979年より下位のサーバ装置およびストレージ装置、スキャナ、プリンタ等を製造していたPFU笠島工場に、上位ストレージ装置を製造していた富士通長野工場、上位サーバ装置を製造していた富士通沼津工場、およびプリント版ユニットを製造していた富士通熊谷工場を合併させ、2002年4月に設立した工場だ。

 同社では、今年4月より生産革新への取り組みとして、トヨタ自動車の生産方式を取り入れているという。トヨタ方式の採用は、富士通 代表取締役社長の黒川博昭氏自らがトヨタ自動車 取締役社長の張富士夫氏に相談したことで始まった。トヨタのコンサルタントが月に二度富士通ITプロダクツを訪問し、改善案を出しつつ生産ラインの向上を図っているという。

 富士通ITプロダクツ 常務取締役の高田正憲氏によると、「2005年度末までに、品質を2倍に、製造手番・棚卸資産などを半分にすることを目標として改革を進めている」としている。工場内のレイアウトも、検品・梱包・出荷待ちの工程を考慮して変更し、運搬の無駄を削減したという。これにより、「倉庫なども含めると、8400平方メートルものスペース削減を実現した」と高田氏。今後も効率の高いレイアウトやラインへと改善を進めることで、合計1万2000平方メートルのスペース削減をめざすとしている。

 では、実際に工場の内部では、どのような工程でサーバやメインフレームなどのものづくりが行われているのだろうか。各ラインを訪ねてみた。

MCM(マルチチップモジュール)試験ライン:バーイン槽内の温度を80度に設定し、加速試験をする。24時間バーインすると、チップを1カ月稼働させた場合と同様の状態になる。1カ月の稼働期間をパスすれば安定した製品であることが予測され、初期不良をなくすことができる

SMT(表面実装技術)ライン:プリント基板ユニットの製造工程。実装効率が高いとされる。写真はチップをマウントしているところ

プリント板ユニット外観検査装置:プリント版に光をあて、光の跳ね返り具合で正常なはんだづけが行われているかを検知するための検査工程

プリント板ユニット目視検査:外観検査装置で、はんだづけが疑わしいと判定された箇所を、肉眼で検査する

IMT(インサートマウントテクノロジ)工程:CPUまわりの組み立てを行っているところ。この工程は、クリーンボックス内での作業となる

製造ラインをすべて書き出したもの:手前(左側)が現状の製造ライン。人間の背丈ほどの工程が存在する。トヨタ方式を取り入れることで、奥(右側)の紙に書かれた工程まで半分以下に減らすという

ハードディスク強化試験:ハードディスクそのものは外部メーカーから仕入れたもので、その段階ですでに試験は済んでいるが、ここでは富士通の基準に沿ってバーイン槽に入れ、一定温度で電圧試験などを行う。本体に組み入れたあとも、専用の試験室にて再度同様の試験を行う

GSシリーズ(メインフレーム):メインフレームを箱に組み入れ、最終検査が行われる。社員の意識を高めるため、納品先の顧客名が入ったプレートが装置の上に置かれるという

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