サービスを「科学」できるか--IBM研究所で討論会開催

Ed Frauenheim(CNET News.com)2004年11月19日 21時44分

 カリフォルニア州サンノゼ発--自社のウェブサイトを使い顧客や従業員が「セルフサービス」を受けられるという手法を、企業は喧伝したがる。しかし、Alec McMillanこの傾向に対して懐疑的である。

 McMillanは、産業用オートメーション製品を提供するRockwell Automationでグローバルスタンダード担当ディレクターを務めている。彼は、社員が従業員手当ての申請書を自分で記入できるようにすれば、人事部のコストは削減できるが、その代わり社員はウェブページを次々と読み進めるのに30分もの時間を費やすことになる可能性があると指摘する。当地で18日に開催されたサービス部門に焦点をあてた会合で、McMillanは「こうした処理は専門家に頼む方が良い。(セルフサービスが進むと)自分自身があらゆる分野の専門知識を持たなければならなくなる」と語った。

 IBMのAlmaden Research Centerで開かれた討論会で、さまざまな研究者と企業幹部がいくつかのテーマについて討論したが、その話題の1つが、技術革新がいかにして優良なサービスを台無しにするかというものだった。

 米国ではサービス業に分類される職種が最も多く、IT業界でもサービス分野の果たす役割がますます重要となってきている。例えば、IBMの収益の約半分はサービス分野からもたらされており、その範囲はデータセンター管理から保険金の請求処理にまで及ぶ。

 18日に議論されたもう1つのテーマは、サービスに関する研究を「科学」とみるかどうかだった。ある参加者は、それは自然に発生する論理的または物理的な現象を研究するのとは性質が異なるので、この分野の研究を「サービスエンジニアリング」と呼ぶべきではないかと提案した。Rensselaer Polytechnic Instituteの教授Daniel Bergも、この意見に賛成した。「おそらく、実際に起きていることにあてはまる正しい用語を見出していない」とBergは言う。

 学問の世界ではサービスに関する多くの動きが見られる。アリゾナ州立大学にはCenter for Services Leadershipという機関がある。同センターは、IBMやHewlett-Packard、Ford、Southwest Airlinesと協力関係にあると、同大学のMary Jo Bitner教授は語る。

 IBMは、サービス分野についての研究を2年以上重ねてきた。同社でヒューマンシステム研究を担当するシニアマネージャーのPaul Maglioによると、これまでは技術を利用していかにサービスを向上させるかという点に多くの関心が集まっていたという。しかし彼は、人間自身の役割について理解すべきことがたくさんあると論じる。例えば、システム管理者は実際にシステムと向き合うよりも、他の担当者とのコミュニケーションにより多くの時間を費やしていることにIBMは気付いたという。「一番難しいのは、人間を理解することだと思う」とMaglioは述べ、「まさに、これを研究するべきだ」と付け加えた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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