Matrix Semiconductor(本社:カリフォルニア州サンタクララ)は米国時間8日、同社の第2世代にあたるメモリチップを正式発表した。通常のチップが平面構造なのに対し、このチップはトランジスタの層を何枚か重ねた立体構造になっている。
トランジスタを階層化することは、チップの製造コスト削減につながる。チップの表面積が小さくなれば、それだけ1枚のウェハから取れるチップの数が増えるからだ。また、半導体ウェハの製造コストは安くないと、Matrixの販売/マーケティング部門バイスプレジデントのDan Steereはいう。従来型半導体トランジスタを1エーカー(約4047平方メートル)分製造するには、約10億ドルのコストがかかると、同氏は試算する。
Matrixが発表したこのチップは、1000個注文時の単価が約9ドルで、同程度のフラッシュメモリの単価約15ドルと比べて非常に割安になっている。
「われわれは、高密度のメモリチップを製造できる。だからコストが安上がりなのだ」とSteerはいう。「もし現実に高価な土地があったら、高層ビルの建築を考えるだろう。それと同じだ」(Steer)
ただし、両者には大きな違いがある。フラッシュメモリの場合、ユーザーがデータを記録/消去/再記録できるが、これに対しMatrix製チップでは、プロセッサの2本のワイヤ間に渡された微細なヒューズが外れた際に、データが記録される仕組みになっている。つまり、Matrixチップ上のデータは、消去も再記録もできない。これは大きなマイナス点だ。
その結果、このチップの潜在市場は非常に小さい。同社ではその主なターゲットを、ビデオ映像や歌、その他のファイルを永久にチップ上に記録しておきたいと考える業界ユーザーに置いている。例えば、玩具メーカー最大手のMattelでは、このチップを同社製携帯ビデオプレイヤー、Juice Boxで漫画を保存する媒体として用いている。
その他に、採用の可能性が浮上しているのは任天堂で、同社は2003年初めに、Matrixに1500万ドルの投資を行っており、Matrixのチップがゲームボーイ・アドバンスの要件を満たし、将来的に同プラットフォーム向けチップとして利用を考えていることを明らかにしている。ソニーやSeagate Technology、Kodakも、Matrixの出資者である。
任天堂は、今週後半にNintendo DSという携帯型ゲーム機をリリースする予定だ。Steereは、任天堂との提携内容についていかなるコメントも断っている。また、任天堂以外のある日本のメーカーがすでにMatrix と契約を交わし、同社のチップを家電製品に組み込む予定だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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