Microsoftは、データの互換性改善を求める欧州連合(EU)の要請に応じ、OfficeのXML文書フォーマットを永久にロイヤルティフリーライセンスで提供することを誓約した。
しかし、MicrosoftはXMLスキーマと呼ばれる文書フォーマットを外部の標準化団体に提出するよう求めたEUの提案には従わず、開発が続く同仕様を社内にとどめておくとの判断を下した。
Microsoftはさらに、適切なマニュアルを提供し、他社による「フィルタ」の作成を促進することも約束した。このフィルタがあれば、Microsoftのワードプロセッサソフトで作成されたXMLフォーマットをほかのアプリケーションでも読めるようになる。Sun Microsystemsは9月、自社のオープンソースデスクトップスイートOpenOffice用にドキュメントフィルタを作成すると表明している。
Microsoftは米国時間8日にも、同社Officeデスクトップスイート担当シニアバイスプレジデントSteven Sinofskyが、欧州委員会(EC)に約1週間前に送付した書簡を公表する予定だ。この書簡は、Microsoftの判断に関する詳細な説明が記されたもので、ECのInterchange of Data between Administration(IDA)から7月にソフトウェア企業各社に送付されてきた一連の提案に対する回答となっている。IDAは、欧州での標準データフォーマット推進を目的に設置された委員会。
IDAはこの勧告のなかで、WordProcessing ML仕様をはじめとする各種Office関連XMLスキーマの今後のバージョンについて、「待遇に差別なく」誰もが自由に利用できることを公約するようMicrosoftに求めていた。IDAはさらにMicrosoftに対し、昨秋のOffice 2003リリース直後に公開されたXML文書フォーマットを国際標準化団体へ提出することについても検討するよう求めていた。
この勧告によると、文書フォーマットの標準化は、EU各国政府が古文書などの公文書を管理したり、市民/政府/企業間の文書交換を簡単にするのに役立つという。
MicrosoftでXMLアーキテクチャ担当シニアディレクターを務め、XML 1.0標準の共同執筆者でもあるJean Paoliは、EUの要請に対するMicrosoftの対応は、XMLが約束する広範囲なデータ互換の実現に向けた大きな一歩である、と語っている。
「今、新しい世界が開けようとしている。(ドキュメントの)コンテンツはユーザーのものであって、ソフトウェアのものではない。そこがきわめて重要だ。コンテンツはすべてOfficeで作成することが可能で、XMLによって安全に保管され、今後はほかの(デスクトップ)アプリケーションだけでなく、バックエンド(のソフト)とも連動するようになった」(Paoli)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス