欧州情報通信技術産業協会(European Information and Communication Technology Association:EICTA)は先週、欧州議会(European Parliament:EP)の司法委員会にソフトウェア特許の導入を求める書簡を送付した。ソフトウェア特許は、欧州企業による研究開発(R&D)への投資を保護し、雇用を守り、企業間の情報共有を促進する、とEICTAは主張する。
しかし、このEICTAの主張は、Foundation for a Free Information Infrastructure(FFII)など、ソフトウェア特許の導入に反対する組織/団体の反発を招いている。
FFII英国支部の広報担当Rufus Pollockは「EICTAは、これまで長年に渡り語られてきた曖昧かつ不正確な主張を繰り返しているにすぎない」と語った。
Pollockはさらに次のように付け加えた。「EU議会と欧州各国の国会が、無制限に認められるソフトウェア特許が技術革新にもたらす危険性に気付いているという良い兆候が見られる中で出された(EICTAの)これらの最新のコメントからは、彼らがやけっぱちになっている印象を受ける」
ソフトウェア特許を認めるべきか否かについては、欧州の様々な立法機関の間でも見解が分かれている。欧州閣僚理事会(European Council of Ministers :ECM)は、欧州各国の特許法を統一するための一手段として、ソフトウェア特許の導入を希望しているが、EPはこの動きに反対している。
EPは2003年9月、ECMのコンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions)に、特許取得が可能なソフトウェアプログラムの範囲を制限する修正を加えることにより、同指令を骨抜きにしようとした。
この動きは今年5月にECMによって阻止されたが、EPは11月に再び同指令を骨抜きにする取り組みを再開すると見られている。EPはECM対策のリーダーに自称「フリーソフト支持者」のMichel Rocard元仏首相を指名したことから、EPは今後強硬路線を取るのではとの憶測が流れている。
多国籍企業50社と32の業界団体を代表するEICTAは、EPに宛てた書簡の中で、ソフトを使った発明に対する特許が認められなければ、欧州で何千もの雇用が失われることになると警告した。
FFIIは当然別の見方をしており、ソフトウェア特許は実際に技術革新を脅かすと主張する。
「特許がなかったら、欧州は(EICTAが主張するような)盗作の温床ではなく、逆に最もダイナミックな技術革新の場となるだろう」とPollockは語る。
現在FFIIは、英国の企業や開発者からソフトウェア特許に関する情報を収集しており、それらを英国政府に提出する意向だ。
そのほかにも欧州全体で様々な運動が展開されている。ドイツの4大政党は、ECMの考えを変えさせるための運動を支持している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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