Silicon Graphics(SGI)は、世界最速のスーパーコンピュータを目指す競争で自社のマシンが首位に立ったと主張している。9月にはIBMが同様の主張をしているが、正式な勝者が決定するのは2週間後になる。
SGIが今年7月にNASAに納入した「Columbia」というこのシステムは、5000万ドルもするLinuxベースのマシンだが、同社はこのシステムが42.7テラフロップ(1秒間に42兆7000億回の演算が可能)という計算処理速度を記録したと26日(米国時間)に発表した。しかし、このスピードもまだ最終的なものではない。NASAのAmes Research Center(カリフォルニア州モフェットフィールド)にあるこのマシンは、搭載されているItanium 2プロセッサ1万240基のうち、まだ5分の4ほどしか使用していないからだ。
42.7テラフロップという計算処理速度は、IBMが9月に宣言したBlue Gene/Lシステムの36.1テラフロップよりも一段と高速だ。Blue Gene/Lの記録は、2002年以来世界最速スーパーコンピュータのランキングで首位に君臨しているNECの地球シミュレータのそれをわずかに上回っている。
スーパーコンピュータのTop500ランキングは年2回更新され、次のランキングは11月6日からピッツバーグで開催される「SC2004」というイベントで発表される。
SGIはスピード競争の王位に居続けられるとは考えていないようだ。「複数のシステムが首位の座を目指して競争しているのは間違いない」と、SGIのDave Parry(サーバおよびプラットフォームグループ担当シニアバイスプレジデント)は述べている。「IBMはもう少し調整を加えて、性能を若干上げてくるかもしれない」(Parry)
SGIはここしばらくの間、1990年代に手にしていた素晴らしい性能と名声を取り戻そうと躍起になっている。当時同社のハイエンドコンピュータは、映画「ジュラシックパーク」のデジタルアニメーションなど、負荷の大きな画像処理で卓越した性能を誇っていた。しかし、Intel製プロセッサを採用したおかげで同社マシンの性能は向上したと、NASAのAdvanced Supercomputing Centerの部門長、Walt Brooksは述べ、Itaniumマシンは同等のSGIモデルより6倍高速だと付け加えた。
現在大半のスーパーコンピュータは、多数のローエンドマシンを使って構築したクラスタとなっているが、SGIのシステムはそうではない。ColumbiaはInfiniBandという高速ネットワーク技術で接続された20台のマシンで構成されており、個々のマシンがそれぞれ512基のプロセッサを搭載している。そして、1台ごとに1つのオペレーティングシステム(OS)が動作する仕組みになっている。
この「シングルシステムイメージ」というアプローチは、スペースシャトルの空気動力学をシミュレーションするタスクなどに適しているとBrooksは言う。クラスタでも流体力学のシミュレーションを行うことは可能だが、ただし「こうしたシステムでは非常に効率が悪く、プログラミングも非常に難しい」と同氏は説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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