NECは、IAサーバ「Express5800シリーズ」のラインアップを一新した。静音化、低消費電力化、ウイルス対策、防じん対策といった機能を向上させた新ラインアップは全57モデル。ブレードサーバからラックシステム、省スペースPCサイズまでが揃っている。
今回のラインアップでひときわ目をひくのが、業界初の水冷式IAサーバであるExpress5800/110Caだ。騒音の原因であるCPUファンをなくし、冷却のために銅ジャケットを装着、ポンプで水を循環させ熱を排気する。こうした水冷システムをサーバで採用するのは業界初。同社はすでにコンシューマー向けのVALUESTARで稼働させている。
NEC執行役員兼第二コンピュータ事業本部長 大武章人氏 |
高機能化するCPUやハードディスクが発する熱を排気するために、通常は大型のファンが装着される。しかしこの回転が生み出す騒音を軽減してほしいというユーザーの声が大きくなっていた。これに対応したのが水冷システムの採用だ。水冷により、動作音を「ささやき声程度」である30dbに低減。消費電力や本体重量などは通常の空冷タイプのものとほとんど差がない。
「水冷ありき、とは考えていない。筐体の大きさを考えると他のやり方にもチャンスはあると思うが、ファンレスにするにはまだ難しく、現状では水冷が一番効果的だと考えた」とNEC執行役員兼第二コンピュータ事業本部長の大武章人氏は言う。
通常の空冷システムで同等スペックのサーバを構築した場合との価格差は約3万円となっており、これはユーザーが受け入れられる価格差として設定された。
この他に、ノートPC並みの25Wという低消費電力を実現したブレードサーバ「Express5800/BladeServer」なども発表された。高密度ブレードサーバに関しては、海外市場には縮小の傾向があるが、大武氏は「国内での需要はある。今後の国内市場においては高密度ブレードサーバが主流になると考えている」ともしている。
また、サーバ本体に加えて、情報漏えい対策を強化したセキュリティソリューション「Express5800セキュリティ・ソリューション」も発表。「Express5800 セキュリティサービス」は診断/構築/通報/運用監視という4種類のサービスを提供するパッケージだ。ウイルス感染時や攻撃を受けたときに管理者の携帯電話やPCに通報を行う「Express5800 セキュリティ通報サービス」や、チェックリストをベースに情報漏えい対策の現状を診断する「情報漏洩対策クリニック」などを含み、専任管理者のいない中小企業や部門単位で利用しているサーバのセキュリティレベル向上を実現する。
これに加えて、同社のセキュリティ対策ソフトウェアをパック化した3種類5製品も提供。あわせて利用することで、連動したセキュリティ対策を可能としている。
今期製品は、デザイン面での向上も見られた。無骨だったサーバにデザイン性を持たせるとともに、ユーザーの意向を反映させやすい「Express5800 カスタマイズメニュー」を導入。免振装置や防塵フィルタといった設置環境に適合させるためのオプション類に、フロントマスクの標準色を黒色に変更する「黒色フロントマスク」も加えられた。
同社は国内でのサーバシェアでトップの位置にある。2004年第1四半期のシェア1位は他社に譲ったが、その後盛り返した。第3四半期についても、1位を獲得できている自信はあるとしている。「相手のあることなので、どのくらい売れば1位になれるかというのは難しいが、120%の伸びを確保できれば大丈夫だという計算をしている。今年度の販売目標は10万台。来年は120%以上の伸びということで12万台以上を目標にすることになるはず。その伸びを継続させ、3年後には倍増となる20万台を突破したい」と大武氏は今後の目標を語った。
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